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4話 思っていたよりも、美化していたもの


 画面が出てきて、すぐに遊ぶの所を押す。


 ワールド設定はどうするかあらかじめ決めてあった。

 初心者だし、難易度はノーマルでいいだろう。

 座標表示。ボーナスチェスト。

 それで、シード値はランダムと。

 ワールド作成の所をすぐに押した。


 頭の中でもうシミュレーションしたから大丈夫。


 『ワールド作成完了』


 スポーンした地点はジャングルの森のようだ。


 すぐにボーナスチェストを壊して中のアイテムを手に入れる。

 チェストの中のものを早く取りたい時は、チェストを壊せばいい。それもユーチューブの動画を見て得られた知識だ。


 羊を三匹倒す。

 持てるアイテムに限度があるので、肉以外に余分なアイテムがドロップしない豚ちゃんを殺すことにした。

 群れを成す豚ちゃん。


 「おりゃー(棒)」

 沈黙。

 (豚ちゃんが消えた)


 んー誰でしょう、豚ちゃんを殺した犯人は。俺? 違うよー。

 というわけで肉が随分集まった。

 夜が来そうになるけど、羊を三匹倒して得られた羊毛でベッドを作ってある。

 ベッドを広げて、早速寝ることにした。



 朝が来た。


 というのも、ベッドで寝てれば5秒くらいで朝になるんだけどさ。

 鉱石を探すことにした。


 頭の中でもう、シミュレーションしてある。

 ・鉱石、主に鉄をたくさん取る。

 ・洞窟でダイヤモンドを探すのは効率が悪いので、ブランチマイニングでダイヤモンドを探す。

 ・ダイヤモンド一式が揃ったら、ブランチマイニングで見つけたマグマ溜まりでネザーに行く。

 ・ネザーでブレストパウダーを集める。

 ・地上に戻ってエンダーマンを倒して、それでエンダーアイを作る。

 ・ブランチマイニングや、モンスター倒しで集めた経験値で防具などをエンチャント。

 ・エンダードラゴンを倒す。

 と、大体の流れを思い浮かべた。

 



 それなのに…なんで今俺は逃げてるんだ?

 いや、あれでしょう?

 理由は思いつく。


 洞窟が浅くて鉄が取れなかったので別の洞窟に行くことにした。


 うん。そうだね。

 夜になっていたんだよ。

 夜になったらモンスターがめっちゃ集まる。

 ベッドで寝ればよかったのかもしれないけど、ダメだった。


 “モンスターが近くにいるため寝れません“

 うわー。

 画面に“You died!“

 ………………


 インベントリ保存にしていなかったので、アイテムは全部あそこで落ちている。

 もう一度そこに行ってアイテムを拾おうとしたら…また死んだ。


 「……は?」

 

 「……」

 15分が過ぎて朝になっていたので、木材を集めた。

 数年後に分かったことなんだけど、その時の状況を指す言葉に“虚無感”というのがあるらしい。

 その時の俺の心情は、まさにそれだった。





 「1時間経ったよ、ゲームを返して」

 「え……」

 「後5分……」

 「伸ばさないで早く返せよ」

 iPadを強引に取られる。






 何年くらい経っても、あの時の様子を思い出す。



 母さんのことはあんまり知らなかった。

 月1で家に帰るということだけ。たまに二週間で帰ってくることがあったけど。

 1日だけ滞在して、またどっか行く。

 俺の家には、いつもじいちゃんとばあちゃんがいた。

 


 うん?


 笑う。


 理由はない。

 

 ただただ笑う。


 あの時のことを思い返すなんてバカだな、クソが。



 「え……?」

 そっか、母さんにiPadを取られたのか。

 まぁ、そうだよな。


 

 その時の俺にはそう思うことしかできなかった。

 子供なんだもの。

 初めてのマインクラフトの感想。

 正直びみょー

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― 新着の感想 ―
[一言] お母さんがなぜ月1ぐらいでしか帰ってこないのか知りたい!  続きが楽しみ!
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