表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/27

3話 俺だけの世界、俺だけの、マインクラフト


 “ーMinecraftーチキンサバイバル3話 木の上で秘密基地作り”


 そう書いてある動画を押した。

 2話も見たけど、1話と同じように面白いとしか言えない。


 まず最初、エルブイは洞窟に潜った。

 昨日防具がなくて、それで死んでたからね。

 それで全身鉄防具にしたら後ろのクリーパーという爆発するモンスターに気づかなくて死亡。


 復活して、瀕死になりながらも、エルブイはスケレトンライダーをなんとか倒すことに成功した。なんとか、ね?


 スケレトンライダーとは、1話目にエルブイを倒したモンスターである。

 骨で出来ている馬に乗っている、弓が武器のスケレトン。

 なんかエルブイめっちゃ喜んでるんだけど? おもろ。


 「よっしゃやったぜ。仇を討ったぞ。いやーマジで強すぎてさ、夢に出てきそうだもん」


 そう言いながらエルブイは骨馬を倒した。


 「マジか……こいつw」


 骨馬は結構レアなやつなのにさw。

 無害でレアな動物だということを知らないの?w


 3話の内容はタイトル通り、木の上に秘密基地を作るものだった。


 「俺はネットで秘密基地の写真を見てさ、こうやって写真通りにやればいけるんじゃないかなと思って」

 「あれ…なんか違くね?」


 何ヶ月後に分かったことなんだけど、秘密基地はジャングルの木を使う方がいいらしい。

 要するに高い木ってことだ。


 「これはねぇだろ」

 「なんで高さ6ブロックのオークの木で家建ててんだよ(笑)」


 マイクラのブロックとリアルは違う。

 そりゃ自分より3倍高いところに建てるのは安全でいいと思うけど、それはリアルの話。

 マイクラは1ブロックより小さいブロックが設定できない。

 ハーフブロックというものもあるけど、細かい修飾をするには建物を大きくするしかない。

 そういうのがいまいちわからないけど、大きい建物の方が綺麗に作れるってことだ。


 高さ6ブロックのオークの木を使ったエルブイの秘密基地はこういう感じ。

 屋根は平。

 真ん中にドアがある。

 おしゃれのつもりなのか、床だけは別の色の木だ。

 ドアの両側に一つずつのガラスのブロックがある。


 「普通だな」


 ていうか、遠目で見てみると……


 「人間の顔に見えるんだけどw」

 両側のガラスが目、ドアが鼻、肌色の木の床が口に見える。

 ついでに秘密基地に登るためのはしごが髭に見えるわ。

 ………俺の寿命を縮めないでくれ。


 「あぁそう言えばね、俺自身でもわかんないんですけど、前前回の1話が少しバズっちゃって、はい。なんか、高評価が6千人でした! ありがとうございます!」


 ということらしい。

 まぁそりゃそうだよね。

 この人面白いもん。さすがチキンサバイバル((わらい))っていうね。


 「……」

 マイクラは絶対面白いんだよね?

 なのに出来ない。母さんのIPadのパスワード知らないから、ダウンロードが無理。

 マイクラをいつ、自分の手で操作できる日が来るのか、俺はエルブイの動画を見ながらそう思ったのだった。



 ーー1ヶ月後ーー



 あれから1ヶ月が経った。

 クリスマスの日にマインクラフトをダウンロードしてもらうって決めてたけど、待ちきれそうになかった。

 頭の中で色々な妄想が膨らむ。


 ユーチューブで色々な初心者用動画とかを見た。

 “マインクラフトの1日目にやるべき10つのこと”

 “サバイバルに役立つ100のコツ”

 “ダイヤが大量。ブランチマイニングのやり方”


 今日は俺の誕生日だ。

 母さんは1ヶ月に一回家に帰ってくる。

 誕生日なら、問題ないのではないか。

 クリスマスじゃなくてもいいでしょ。

 たった一言だけ。


 ”母さん、誕生日プレゼントのことなんだけどさ、ダウンロードして欲しいゲームがあって…“


 これだけの一言。

 体が熱くなってくる。この一言で得られるかもしれない喜びや楽しさを想像して、熱くなる。

 もう待てない。


 「母さん……」


 期待を込めて俺は言う。





 結果・・・成功した。


 母さんはお金“0.99$”の所を見たけど、何も言わなかったってことか。

 熱くなった体でiPadを受け取る。

 やっと。やっとだ。


 Minecraft のMineは英語で“私の、私のもの”という意味があるらしい。

 自分の、私のクラフト。それでマインクラフト。

 自分だけの世界が作れる。冒険できる。

 実にこのゲームらしい名前だ。


 “ダウンロードが完了しました”と出て、俺はすぐにマインクラフトのアイコンを押した。

 俺だけのワールド、俺だけの家、俺だけのマインクラフトが今、始まる。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ゲームがついに出来るワクワクを感じました。 エタらないように頑張って! 私も頑張る(^o^)/
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ