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ーBEGINNER PLAYERー『零.』⑤ PLAY

 俺のチームメイトを倒した敵を見ていた。


 人数は2人。hpが少なくなっている。


 これで一気に突っ込んで……。


 頭の中で想像する。


 1を撃って、ダメージ。それで1のスキルでテレポート、2でスタン、ウルトを打つ。

 

 こういう感じか。


 実践しようと、必殺技のところをタップ。



 敵は、飛んでくる球を見て、避けようとした。


 でも、俺がブッシュに隠れていて、距離が近かったのか、避けられなかった。


 

 俺が使っているキャラは『アリスクーレア』だ。


 必殺1は、紫の回転するエネルギーの玉を放つ。ビームじゃないから、普通に気をつければ避けれる。でも、与えられるダメージが高い。玉が飛んでいる時にもう一回使用すると、玉のいる位置にテレポートをすることができる。


 必殺技2は、相手を0.6秒スタンさせて、少量のダメージを与える。


 必殺技3は、12秒『クイーン状態になれる』。クイーン状態では、敵に0.5秒ごと、アリスクレーアの一定範囲内の敵に、〇〇ダメージを与え、アリスのhpを〇〇回復させる。


 アリスクレーアは必殺1、必殺3が強力だけど、外したら話にならない。


 だから、外しちゃいけない。


 スキルを外さなかったら装備がある時、タンクとファイター以外は高い確率で倒すことができる。



 敵は俺が撃つ必殺1を避けられなくて、紫の玉を受けた。hpが残り3割。


 1のスキルをすぐにもう一回使用し、テレポート。必殺3を発動する。


 敵2人は逃げようとする。そうさせないように、必殺2でスタン。


 敵のhpが0になり、画面に『ダブルキル』が表示された。



 このゲームでも、そういうシステムがある。


 1人のプレイヤーを倒した時は普通に、自分のアイコンが表示されて、その右には、✖️印を付けられた、敵のアイコンが。


 2人を一定時間内で倒した時は『ダブルキル』。


 3人を一定時間内で倒した時は『トリブルキル』。


 4からは、違うらしい。『マニアック』と呼ばれる。


 他のゲームとは別の、オリジナル要素を増やすためなのかな。


 5人を一定時間内で倒した時は、『サベージ』。


 他のゲームでは、『ペンタキル』と普通、表示されるんだっけ。



 試合では、『ミニオン』、『タワー』、『ヒーロー』、『モンスター』、『タートル』、『ロード』を倒すことで『装備ゴールド』を得ることができる。


 装備ゴールドで、『装備』を買うことができる。


 自分のキャラを、パワーアップするためのものだ。


 職業によって、職業専用装備がある。


 自分のキャラと同じ職業の装備を買うと、装備ボーナスを得ることができる。


 装備の相場は、2000ゴールドくらいからだろうか。


 途中で、小装備を買って、それをパワーアップしていく感じ。


 その全部のパワーアップで、2000ゴールド以上がかかるのだ。




 敵が倒されて、リスポーンしている間に、俺はタワーをどんどん攻撃する。


 キルを取っているし、今回の敵はタンクキャラがいないし、敵も育っていない。


 敵とのゴールド差がすごいついている。


 そのまま俺は進撃して、ベースを攻撃し、ついに


 「ゲームセット……」


 

 やっと。


 長かったな、本当に。


 “マスターランクに到達しました。おめでとうございます”


 “師弟機能が解放されました。この機能で師匠、弟子を探して、一緒に師弟クエストに取り組みましょう!”


 数日の間にランク上げを頑張って、解放したかった機能が、解放された。


 その、達成感が半端なかった。


 

 エリートランクからは、難しくなったきた。なんでだろうか。


 このゲームは5vs5だ。


 例えば、メイジ、アサシン、ハンターなどの職業はダメージが高い。


 でも、自分を守る力は少ないんだ。


 だから、防衛能力、妨害スキルが多いタンクがいなきゃいけないけど。


 「初心者の人は、あんまりタンクをやりたがらないんだよなー」


 俺もそうだ。


 だって、魔法使いとか、アサシンの方がカッコいい。


 別に、タンクでもいいけどね。


 

 「タンクはいなきゃ、いけないのか」


 敵にタンク職業がいた試合はやりにくかった。


 マスターランクに上がるのが遅かった理由でもある。


 

 でも、これで『師匠』を探せる。


 特別な何かがあるわけじゃないけど、なんとなく俺は試したかった。


 『師匠を探す』というところを押して……。

 

 プレイヤーリストが画面に映し出された。


 師匠は、弟子の2つ上のランクじゃないといけないらしい。


 ていうか、自己紹介文とか、こういう弟子を取りたいっていうのがないのか……。


 適当に『ーアキー』という名前のプレイヤーに申請を出した。



     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 アキ:▷え、え、早くない!? 俺はまだ弟子取りの申請を出したばかりなのに。


 エルブイ:▷あ、そうなんですか? あの、よろしくお願いします!


 アキ:▷こちらこそよろしく。


 エルブイ:▷あの、どうしたらエピックランクに早く上がれるんですかね?


 アキ:▷あーそれね。俺、なんて呼べばいい? エルブイ?


 エルブイ:▷なんでもいいですよ。エルブイでもいいし、エルでもいいし。


 エルブイ:▷アキさんの方こそ、アキって呼べばいいんですか?


 アキ:▷じゃ俺はエルって呼ぶ。俺の方は普通にアキで。


 エルブイ:▷本名ってなんだろう。『アキラ』だから『アキ』になったのかなwww。


 アキ:▷え? いや、違うよ?


 エルブイ:▷ふーん


 アキ:▷それでさ、『ジャングル』ってあるじゃん?・・・・・



     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

 低ランク帯では、『ジャングル』を狩るキャラを選んだ方が良いとのことだった。


 ジャングルを狩るキャラ=ダメージが高くて、場を制圧できる。そしてタートルや、ロードが取れる。



 『タートル』と『ロード』は、ジャングルのボスモンスターみたいなものだ。


 まずは、タートルの場合。


 狩るのに時間はかかるけど、狩り終わると、味方や自分に『タートルバフ』、味方や自分に200ゴールドが与えられる。


 200ゴールドは小さいけど、チームは5人いるから、合計で1000ゴールド。


 大きいな。


 次は、『ロード』か。

 

 ロードは試合開始9分くらいに出現する。


 ロードが出現した後は、タートルはもう、湧かない。


 ここからが、魅力だ。


 “ロードを倒すと、ロードを倒した陣にロードが召喚され、相手のタワーを倒すのを手伝います”


 “また、ロードを倒した陣のミニオンは、2ウェーブ、『強化ミニオン兵』になります”


 ロードの体力は、とても多い。


 タワーのダメージを、25回受けてやっと死ぬって感じ。


 プレイヤーに与えるダメージは、とても少ないんだ。


 でもロードの職業は『タワー折り』というヤバイやつで、タワーを攻撃すると職業ボーナスダメージがつく。


 タワーのダメージは、レーンの一番前のタワーは6000hp。


 ベースは、10000hpだ。


 ロードは一回の攻撃で、タワーに1250ダメージを与える。


 ヤバイな。



 とにかくロードを倒すとそれだけ勝ちやすいということになるから、アキさん的にはジャングルを狩るキャラの方がいいってことだ。


 ダメージが高ければその分場を制圧することができる。


 タンクキャラをやって味方を守るという選択肢はあるけど、低ランク帯ではあんまりやらない方がいいらしい。


 上手いタンクがいても、味方の火力キャラが下手ければ勝てないとのことだった。


 「味方の火力の下手さで負けるなら、自分で火力をやって勝ちに行くというやつか……」



 アキ:▷あ、もちろんメイジをやってもいいと思うよ。でも、メイジだとジャングルを狩れないからね。ロード戦とかで、ロードを倒せる可能性が低い。


 エルブイ:▷そうなんですか、ありがとうございます。


 アキ:▷って言っても俺はまだ中級者なんだけどな。ミシックなんて、行ったことないよ。今俺が話した情報も、全チャで聞いたものだし。


 エルブイ:▷全チャ?


 アキ:▷グローバルチャットのこと。このゲームでは、全チャって言うんだ。


 エルブイ:▷そうなんですか。色々教えてくださって本当にありがとうございます。


 アキ:▷こちらこそ。ていうか、エルって、頭良いな。


 エルブイ:え、そうなんですか?


 アキ:▷いや、なんていうか、まだ100試合くらいしかやってないでしょう? なのに、考え方がすごいし、吸収が早いし。


 エルブイ:▷いや、そんなことないですよ。


 アキ:▷そういや、エルさん何歳なの?


 

 マジか……。


 こう来ると思った。


 「小学四年生って言うと、笑われるよな……」



 エルブイ:▷20ですね。アキさんは?


 アキ:俺は24。よろしくな。



 俺は、初心者を脱せたのだろうか。


 多分、まだだ。


 

 ゲームをする人たちの間では、お試し期間というものがあるらしい。


 一週間くらいプレイして、それでおもしろくなかったら、やめる。


 

 一週間、俺は、このゲームをやってみた。


 すげぇおもしろいし、俺はやりたいと思ってる。

 

 やめたくなんかない。


 

 マスター帯から、ランク上げするのが難しくなってくる。


 ウォリアーからマスターまでは、お試し期間ということなのだろうか。


 ウォーリアでは、普通にA.Iと対戦していたし。


 マスターに行ってから、本当の意味での、戦いが始まる。


 技と、経験と、知識で勝つ。1秒たりとも油断は出来ない、そういう試合。


 ミシックランクまでは本当に、遠い道なんだな。




 俺はまだ、スタートラインに立ったばかりだ。






サブタイトルも今回、俺の好きな曲です。

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