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第呬話

拍手が小さいぞ♪って何かありましたよねぇ?まぁ、そんなことはもはやどうでもいいのですが、スーパーか、ハイパーか聞くのが長ったらしかったのでSとHにしました。まったく前書きにコメントすらしてなかった怠惰な作者、今後は努力し改善に努めていきたいと思います。

 なぜ、ここまで強くなったのか。


 何かを倒したかったのか、何のためなのか。


 ふとしたときに考えること。答えは見つからない。


―――――――



「おまたせっさ」

 アスファルトに霜が降りているところを凝視しているとそんな声が聞こえてきた。彼女……緋奈さんが来ただけでアスファルトの霜は溶け出し、僕の身体をねちっこく襲っていた寒波は季節どおりの暖かさを取り戻していた。

「いやぁ、昨日の今日のでここまでひどくなるとはおもってなかったっさ」

 半そで姿で現れたわけだが、僕はいまだに長袖で彼女に近づけば近づくほど暖かい。

「うぅん、それでその、鎮めてほしい龍って名前とかありますかね?」

「ああ、名前?名前は確か……久しくなってないからちょっとねぇ、忘れちゃった」

 友達の名前を忘れるなんてひどい話だがまぁ、そんなことも長生きしたらあるのだろうか?

「ちなみに緋奈さんはおいくつですか?」

 あえて失礼だと思われる質問を投げかけてみる。

「俺っち?俺っちはこの世に生を受けて今年でじゅ〜はちっさ」

「十八世紀?」

 なるほど、おばあちゃんだな。

「違う、じゅ〜はっさい」

「え?十八!?」

「そう、十八」

 その見た目相応の歳に少し驚いてしまう。

「ともかく、俺っちのことはいいからさっさと鎮めてほしいっさ。近所のトメさんが冷害が酷くて畑が酷いことになったって嘆いていたから」

 そんなことで僕を呼んだのだろうか……?まぁ、仕事ですからやりますけどね。

 一軒家でしかもそこらのぼろい家とはぜんぜん違うたたずまい。僕が泥棒だったら確実に忍び込むであろうその家……雪原邸。ここ一ヶ月この雪原邸に出入りしたものを見ていないと緋奈さんは言っていたので家族の人達にも何かあったのかもしれない。

 覚悟を決めて玄関の扉を開ける、するとものすごく寒い、というか痛い風が吹いてきた。それだけ目がかすみそうになったが風は収まり、僕の身体を暖かいものが包んでいた。

「大丈夫っさ?」

「あ、すみません」

 後ろからぴったりと僕に抱き着いてくれていた緋奈さんのおかげで凍死することなく前に進むことができたのはいろいろな意味でラッキーだったと思う。

「うわ、こりゃすげぇ」

 氷の層が全てを覆っている……玄関に飾られていた花瓶の花はそのまま凍っていて、床も天井も何もかも、氷が飲み込んでいて触るとつるつるだった。

「ふはぁ、こりゃすごいっさね」

 そう緋奈さんが言ったときに再び風が吹き、彼女が抱きしめる。

「……大丈夫っさか?」

「ええ、まぁ……それより、深刻なのは外に出れなくなったことですね」

 気がついてみればさっき入って来たばかりの玄関が完全に凍りに覆われてしまったことだ。緋奈さんの力を使えば出ることができるかもしれないがそうするとこの家が萌えてしまう……じゃなかった燃えてしまう可能性もある。

「とりあえず前にすすむっさ」

「そうですね」

 ともかく、今出来ることはこんな状況にしてしまった龍を見つけることだけだ。見つけてから鎮めるか沈めるか決めればいい。

 靴を脱ぐことなくそのまま土足で入り込みあたりを見渡すがもちろん見つけることなんて出来ない。廊下は左右に広がっており右からいくか、左に行くかでしばしの間考える。

「二手にわかれるっさ?」

「……そうですね、僕は左から行きます」

「じゃあ、俺っちは右から」

 気をつけていくっさよと言われたがさっきみたいな風が来れば一発で凍ってしまうのは目に見えてわかっていることだ……だが、僕の燃える心は凍らせることができないはず!……ごめん、強がり。

 天然洞窟なんじゃないかなぁという気持ちで廊下を歩いていると人影を見つけ、近づく。

「……こ、凍ってる……」

 そこに居たのはダンディーなひげを生やした一人の男性。なんだろうか?ええと、こまねちっぽいポーズで固まっており笑ったほうがいいのか真剣に悩んでしまった。

「……駄目か」

 とりあえず溶かそうとライターを近づけてみたのだが効果なしのようだ。火炎放射器とか持ってきたところで一ミリ程度しか溶かせないだろうな。

 やはり元を断たなければいけないのだろう、僕は滑らないよう慎重に廊下の奥へと歩いていくことにした。


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