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第壱四話

予定的にこの龍輝の話は三部作のつもりです。つまり、ある程度のさわりまでやったら後は凍結する恐れが……あくまで恐れですが、凍結する可能性を先に提示しておきます。この小説を読んでくれている方々には多大な迷惑(きっといない……くぅっ!)をかけることをお許しください。では、どうぞ進んでください!

 そこで白い龍に出会った。


 ただにらみつけるだけでしかない龍に僕は話をした。


 そして、そして僕は……



――――――――



「あの人、信じられないんですよ!私というものがありながら……」

「あ、あ〜……そうなんですか……」

 何をされるかわからなかったが、どうやら僕は愚痴を聞いているようだ……永遠と。時間なんてめちゃくちゃですでに時計は先ほどから長針が逆行、短針が見えないほどの速さで回転を始めている。秒針なんか一周したら逆周りへと移行するのだ。もはやここの時間が意味を成さないのを示している。

「ちょっとちゃんと話を聞いているんですかっ!?」

「聞いてます、聞いてますから!」

 ちなみにここでプチ情報だが進んで聞くほうは聴くという漢字である。

「その、あなたの夫が他の女性にも優しいのが問題だということですよね?」

 この人は間違いなく龍だが、この人の旦那さんは人間らしい……。彼らがどういった経緯であったのかはわからないがよくもまぁ人が龍と一緒に生活できたものだ。気難しい龍が多いのにその人は難なくこれまでやってきたようだが嫉妬を抱いたこの龍はその愚痴を僕に言い続けている。

「そうです、そのとおりです!」

 美しい女性だと思っていたのだが今はものすごく悔しいとばかりに藍色のハンカチを千切れんばかりに噛んで引っ張っている……昔の漫画みたい。

「ええと、それで旦那さんはどうなったんですか?」

 ものすごくこの先どうなったのか旦那さんの末路が気になってしまう。今頃どこかに監禁されているのか……それともそこで見事な花を咲かせてくれている桜の根の下に……いたりしてね。

「あの人は閉じ込めてやりました。封印してもらったんです!」

「え?封印って……人間を封印するなんてできるんですか?」

「やろうと思えばできます。“こーるどすりーぷ”でしたっけ?あれも捉え方によっては封印だという人もいますよ」

「はぁ、そうなんですか……それで、あなたはどうしたいんでしょうか?」

「ここから出してあげる代わりにその封印した私の夫を連れてきてもらいたいんです。場所はわかっています」

 告げられた場所を聞いて僕は自分の頬が硬直していくのが手に取るようにわかった。だが、この表情を悟られないようにまじめな顔を演出する。

「では、今からあなたをそこへと向かわせます……絶対に抵抗したりしますから、あなたもそれなりに強いでしょうが私の夫も非常に手ごわいということを頭に入れておいてください」

「まつっさぁっ!!!」

 清流から一人の女性が現れる。天に髪の穂先を向けてまとめている萌える……じゃなかった燃える熱血龍?緋奈さんが現れたのだ。

「あら、龍輝さんこの方は?」

「ええと、僕と一緒にこの屋敷に迷い込んでいた一人です」

「ああ、そうでしたか……見るところまだ生まれて間もない赤ん坊のような龍ですね」

 にこりと緋奈さんへと微笑みかけてこちらへと向ける。目じりが下がっているところを見ると子どもとかが好きなようだ。

「あの方の龍輝さんへの信頼はとても強いものだとわかります……二人で私の夫を連れてきてください」

「は、はぁ………緋奈さん、すみませんが少し手伝ってもらえますか?」

「はぁ?なにをっさ?」

 首をかしげる緋奈さんの手をとり、着物の女性の前へと立つ。

「では、お願いしますね」

 これから向かう場所、過去一度だけ僕がそこへと出向き、開けてはならない扉を開けてまであった人物……



 向かうべき場所は龍沈めに力を貸してくれている神様のような存在の人の元へだった。


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