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6話 シークとイルと葡萄狩り

「可愛いねお嬢ちゃん」「何才?」「くまちゃん遊ぼう!」「苦しい…助けて」「だれあんた」「無視すんなや」

葡萄ぶどう達がシークとイルに話しかける。


「ぎゃ!話しかけんな気持ちわる」


「シークそんなもん慣れっこだろ、って亡者顔キモいな」


「私を食べて!」

葡萄の粒がシークの口に飛び込んだ


「げっ口に入ってきやがったペッペッ」

イルは葡萄を吐き出す。


辺り一帯の葡萄畑には一粒一粒に亡者のたましが宿やどり目、鼻、口、耳等の不完全な形を作り出している。シークとイルに話しかけり口に飛び込んだりしてくる。


「せっかくの葡萄が台無しだな」


「亡者も酒につけると美味いらしいぞ」


「げげげきしょっ」


シークとイルは葡萄農園に被害をだしている亡者の出所を探しに日本家屋にほんかおくの家の依頼主を訪ねてきた。


シークはドアに付いているベルを鳴らす

「すみませーん!依頼を受けたシークです!ヒビキさんいらっしゃいますかー?」


「…」


「返事がないな」

シークがドアに手をかける。


「ドア開いてる、少し覗いてみようか」


「あっ!!」

ドアを開けると誰か倒れているのが見えた。シークとイルは駆け寄る


「大丈夫ですか!?」


「…あ、あぁハンターさん!ヒビキを姉のヒビキを助けて!!」


「依頼主のヒビキさんの妹さんですか?何があったんですか?」


「私はネヲン、姉のヒビキとここで葡萄ぶどうを作ってるんだけど最近この辺りにDランクの亡者が大量に盗み喰いしてくるようになったの、葡萄も亡者の影響で亡者宿もうじゃやどりの葡萄になってしまうしで…、それで私の姉のヒビキが奴らの巣を探して燃やしてきたみたいなんだけど度々亡者達の報復を受けてハンターさんに依頼を出したんだけどヒビキはさらわれて私はこのざま…」


「そんなことが…ネヲンさんはここで安静にしてて俺とイルでヒビキさんを助けに行ってくる」


「ありがとうハンターさん、けど私も一緒に行くわ」


「安全は保障できんぞ」


「…はい!私も少しは戦えます!」


一行は家をでて葡萄農園を見渡す。


「それでヒビキさんが攫われた場所に心辺りは?」


「場所は分からないけど亡者達は葡萄を盗み喰いにくるの、奴らの後をつければ居場所がわかるかもしれないわ」


「待ち伏せするにしても隠れる場所がないな」


「隠れる場所なら葡萄の木の上はどうかしらイルさんは軽そうだしシークさんは飛べるのでしょう私も少しは飛べるから」


3人は木の上にそれぞれ上がり身を隠せそうな場所を探すの


葡萄蜂ぶどうばちが居るから刺激しないよう気をつけて」


「蜂ってあのちっこい奴だろ、俺虫平気だから大丈夫」とシークは近くの小さな蜂を指差す


「シーク後ろ後ろ!」

イルが青い顔をしてシークの後ろをガン見している。


シークが振り向くと30センチほどの蜂が葡萄の房を千切(ちぎ)って飛んでる所だった、巣に帰って行く所のようだ、葡萄畑を飛んで上から見下ろすとあちこちに30センチほどの蜂が飛び回っている。


「葡萄蜂は普通の蜂と同じように黒い者を襲う習性があるから…あっ!!シークさん黒髪は危ないわ!フード被って!気づくの遅れてごめんなさい!刺されなくて良かったわ」


シークは黒髪を隠すためフードをかぶる

「そういう事は早く言ってよ…あんなでかい蜂に刺されたら死ぬから」



3人が葡萄の木の上に隠れしばらくするとDランクの亡者が集団で葡萄を盗み食いに現れた。みなパクパクと口に放り込んでいく。


葡萄畑のDランクは葡萄を媒体に体を形成しているようで葡萄の皮の紫色と身の半透明の緑がかった薄い黄色の混じったブヨブヨした体をしていた。形態は上半身の腰から上は人間で両腕が6本あり下半身はナメクジの様な身体である。


「あぁ、私達の葡萄が…」

「大損害だなこりゃ」


腹を満たしたいDランクの亡者たちは次々帰っていき残りの一体になった所で後をつける事にした


「よしあいつの後をつけるぞ」

「はい!」「おー!!」


足音を立てない為シークとネヲンは空中から追跡しイルはシークに抱えてもらって飛んでいく


「あっ!あれ亡者の巣じゃないか!」

暫くするとDランクの亡者達が生活しているひらけた土地に辿りついた


「あんなたくさん…」

「何をしてるんだ奴らは」


Dランクの亡者達は口からぷぷぷぷぷぷぷぷと葡萄を飛ばしながら吐き出し大きな葉っぱの上に葡萄を積み重ねていく。


そこへ体の大きな亡者が現れ葡萄を食べに現れる、食べ終わるとお腹が大きくなるのだが次の瞬間大きな亡者はDランクの亡者を出産し腹は凹み、また葡萄を食べて出産を何度も繰り返す。



「奴らは葡萄を食べているんじゃなくて仲間をああやって増やしていたんだ…」


「出産ができるってことはクイーンねBランクって所かしら」


ここのBランクのクイーンも葡萄でできた体に上半身は人間下半身はナメクジとDランクと同様の形態をしているが体はDランクより大きい。



「なら目標はあのBランクだな奴を仕留めればDランクの数は増えないがどう仕留めたらいいもんか…」



空中から眺めているとキラッと光る何かが飛んで来た

それはシークの腕をかすめ「痛っ」と言う声とともにシークはイルを落としてしまった。


「腕、血が出てるわ大丈夫?」

「うん、かすっただけだから、それよりイルを!」


シークはイルを探しに地中に降りた。


「イルどこだ」

「シークさん危ない!」


ネヲンの声が聞こえる途端に待ち構えていた亡者に捕まり羽交締はがいじめにされシークはとらわれる。


「うぎぃー気持ち悪いなーはなせよー!」


シークはバタバタ暴れるがDランクの亡者に手足を縛られ土で作られた粗末な半球の家に投げ込まれ縄で繋がれる。


「う…あぁぁ…みずを」

「っ誰かいるのか?!」


暗い穴の中で目を凝らすと女の鬼が倒れているシークは縛られた手足でくねくね動き近づいて様子を見る。


「大丈夫ですか?」

「うぐっ…」

返事はない。

「意識が朦朧もうろうとしてるようね」

シークの頭上から姉の声が聞こえる。

「ねーちゃん!?」

「助けに来たわよシーク」


シークの姉はカメラから短剣を取り出しシークの利き手に移動させる。シークは短剣で自分の縄と女の鬼の縄を切る。


「ありがとうねーちゃん、助かったよ」


「お水もあるわよ!その人に飲ませてあげて」


「っあ、そうだった」


女の鬼は水を飲み意識が戻り、シークの姉が取り出した食料もガツガツ食べて気力を回復させた。


「ふーっ、生き返った!どなたか存じませんがありがとうございます」


「あの、あなたはもしかしてネヲンのお姉さんのヒビキさんですか?


「!?ネヲンはネヲンは無事なのか!ヒビキは私だ」


「はい、ヒビキさんから依頼を受けたハンターです。ネヲンさんと一緒にヒビキさんを助けにここまできたのですが俺は亡者に捕まりネヲンさんとははぐれてしまいました…」


「…そうか、とにかくここを出よう」

ヒビキは外の様子を確認する。


「はい、ですが亡者どもの頭数が多すぎますヒビキさんどうしますか?」


「ここに捕まって一つ気づいた事がある亡者どもは葡萄蜂が欠点らしいんだ葡萄蜂に食べられる所や連れ去られる所を見たんだ、葡萄蜂は巣に葡萄を持ち帰って女王蜂が卵を産み付けるんだ、それであっというまに育って成虫になるの葡萄にとっては害虫だけど今回は葡萄蜂の習性が利用できそうだが…」




「葡萄蜂ですか、そうだイルはまだ捕まっていないのなら…連れに連絡してみます」


シークは端末を取り出しイルに連絡する。プルルルルプルルルル、2回のコールでつながった。


「シークか捕まるとこ見たが無事だったのか?」


「イル無事か?俺は捕まって動けそうにないんだヒビキさんも一緒だ、ヒビキさんの話によると今回の亡者は葡萄蜂が欠点らしい、イル頼めるか?」


「葡萄蜂かぁ、わかったなんとか集めてみる」


「よろしくな!」


「シーク私にも任せて!たくさん葡萄蜂を見つけてくるわ!」


「ありがとうねーちゃん!」


シークの姉カメラは外に飛び立って行く。


シークから連絡を受けたイルはネヲンと葡萄蜂を探しに森を歩く。


「シークさんも姉も無事で良かったです〜」


「攫われた時はひやっとしたが今の所は無事らしい早く助けようぜ」


「所で葡萄蜂の巣ってどんなんだ?」


「葡萄蜂は蜂塚といって土を山の様に盛り上て作った大きな巣を作ってます。あれなんかビンゴです!」


ネヲンは直径10メートル高さ15メートルほどの塚を指差す


「問題はどうやって亡者の巣まで移動させるかですね…」


「葡萄蜂の天敵は熊なんだろう俺が囮になる」


「…はい、確かに葡萄蜂の天敵は熊ですがイルさんはぬいぐるみですし小さ過ぎませんか?って、ごめんなさい」


「ネヲンさん失礼だな、俺が小さくて非力に見えるかい?まあその辺で隠れて見てなって!」


イルはミラクルジュースを確認し巨大化ラベルのものを取り出し飲み込んだ。

イルの身体がどんどん4メートルくらいまで大きくなり毛色も黒く変わる。


「当たりだな」

トリミングの後ミラクルジュースのラベルをよく確認してみたら効能はランダムだが増毛の他に巨大化や身体強化も含まれていた。


「イルさん!葡萄蜂が!」


「ああ、大丈夫だ俺の身体は綿わたが詰まってるだけだから」


イルの周りには沢山の葡萄蜂が群がりまとわり付いている。


「よし、じゃあシークとヒビキさんを助けに行こうか」


イルとネヲンは亡者の巣まで歩いて行く。




シークとヒビキが粗末な半球の家で身をひそめていると地響きとともに亡者の悲鳴が聞こえてきた。


「なんだ!?」


ドアの隙間から外を確認してみると亡者達が葡萄蜂に食われている。


「おーい!シーク無事かー!」

イルは元の大きさに戻っている。


「ねーさーん!どこにいるのー?」


イルとネヲンの声がするのでシークとヒビキも返事をする。


「ここだーイル!」


「ネヲンここだー!」


4人は駆け寄り無事を確認する。


「姉さん良かった無事で!」


「ネヲン助けに来てくれてありがとう!怪我はないか」

「私は大丈夫よ!」


「感動の再会はまだ早いぜ…亡者どもが亡者クイーンを連れて逃げないうちに決着をつけないと!」


辺りに目を回すと生き残った亡者が亡者クイーンを守りながら道を開いて動いている。が、葡萄蜂の方が優勢で亡者は次々と倒れていく。


「逃すか!」

シークは短剣を、イルはステッキの鞘を抜き残りの亡者を避けつつクイーンに目標をさだめ攻撃する。


亡者が後ろからシークの頭を狙う

「シーク後ろ頭をさげろ!」


「おお!サンキュー」

亡者の攻撃はシークの頭をかすめシークのフードが破れ黒髪が現れる。


気づくとDランクの亡者は全て倒れ周りは葡萄蜂と亡者のクイーンだけになっている。


「もうお仲間はいないようだぜ」

「へっへっ、俺たちの勝ちのようだな」


シークとイルは足の遅い亡者のクイーンを仕留め一息つく。


「はあ、終わりだな」

「クイーン繁殖力は強いが弱弱だったな」



シークはクイーンの魂を身をかがめ拾う。


「シーク葡萄蜂だ!頭を隠せ!」

隠せる物がシーク自身の腕しかない。



葡萄蜂はシークの顔面に近づく。

「わーーーー!!」


カシャという音とともに葡萄蜂はシークの前から消える

「ギリギリ間に合ったはねシーク無事で良かったわ」


「ねーちゃん!助かったよ」


「葡萄蜂は見つけて来れなかったけど戻って正解だったわね」





シークとイルはヒビキとネヲンを家まで送り届ける。


「ハンターさん助けてくれてありがとう、これで今までどうり葡萄がつくれるわ」


「あとは亡者宿りの葡萄を駆除しないと他の葡萄に感染するから…」


「依頼料弾んでくれるんなら俺達も駆除手伝うぜ!」


「まあ!じゃあお願いするわ!ありがとう」


シークとイルは夕方遅くまで亡者宿りの葡萄の駆除を手伝う。


「よし!今日はここまで」

「まだまだ亡者宿りはあるけど感染は防げる程度は駆除できたわ、2人ともありがとうございます」


「疲れたな」

「以外と骨の折れる作業だわ」



「で、この亡者宿りの葡萄はどうするんだ?」

「大量にあるけど獄安協会に持っていくのか?」



「そうね、亡者宿りの葡萄にも使い道はあるの」


「…まさか酒につけるの?」


「そうさ!子供なのに良く知ってるな、お嬢ちゃんも大人になったら飲んでみるか?酒の中で喋って動くタピオカみたいなもんだ、はっはっは」


「気持ち悪いのでいりません…」

「確かにシークにはまだ早い話だな」


「まあそうだな、これは今回の依頼料だありがとう世話になったよ」


「シークさんイルさんまたいつでも訪ねてきてね!そうだ葡萄でジュースも作ってるの」


ネヲンはジュースと干し葡萄を持って来てシークとイルに渡す。


「わーありがとう!」

「こっちは干し葡萄よ!」

「じゃあ俺達はこれで」

「またな!」


シークとイルはサカズキ街に戻り獄安協会でDランクの亡者とBランクのクイーンな魂を換金する。



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