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46話 炎蓮と行方不明者捜査

公園での戦闘の後救急車で運ばれた華形祭の傷は幸いにも軽く病院で手当てした後自宅療養となり炎蓮と速風も招かれ華形祭に詳しく話しを聞かれた。


「そうか…、炎蓮さん速風君、話しは分かった。私の方でも君達に協力しよう。慈善清麻呂とは後日面会する予定がある。慈善はとても用心深い、そこで炎蓮さんを私の養子として慈善の息子にお見合い相手の紹介としてなら怪しまれんと思うんだが、そこで映画で使う化け物の手配を慈善に頼もう」


「養子にお見合いですか、本気なんですか?」


炎蓮はえっ?と、慈善に聞き返す。


「ああ、本気じゃ、慈善みたいな野心家は家柄を気にする私の養子であっても華形との繋がりは持ちたいはず。先ずは慈善の息子を手玉に取り入れ情報を聞き出そう」


「ハニートラップですね!華形さん」


速風は目を輝かせワクワクしている。


「ああ、日にちは今日の夕方、慈善神社の祭りの日じゃ、それまで炎蓮さん華形家の淑女としてのマナーと…強さを兼ね備えた女優として期待しとる。養子の手続きは此方で進めておくよ」



炎蓮は『あれ?私、地獄の行方不明者の調査に人間界に来てたんだよね、あっ、でもこのまま話しが進めば慈善清麻呂に復讐(ふくしゅう)できそうだし、行方不明者の調査は風節さんと牙さんに任せようかな』と頭の中でつぶやいた。


炎蓮の思考中沈黙が生まれるが速風が炎蓮に確認する。


「それで大丈夫ですか?炎蓮さん」


「はい、流れに身を任せます」


落ち着いた表情で炎蓮は頷く。



◻︎


その頃、風節と牙、瑞稀は鬼の行方不明者のリストを辿っり行方不明にまもない鬼の依代を探していた。


「地獄の鬼は人間界で依代(よりしろ)が必要だ、疑うとなれば依代の人間だ」


風節がガムを膨らませながら話す。


「日付が新しい行方不明者のリストによるとここのアパートに住んでる津々太一(つづたいち)が鬼の芽衣子(めいこ)さんと香乃(かの)さん依代になってますね」


瑞稀がアパートから少し離れた場所に車をとめる。


「あ!部屋から津々が出てきたぞ!どこかでかけるのか?部屋から見送ってるのは鬼の女性だな、また新しく契約したのか怪しいな」


牙が歯を剥き出しにしくいしばる。


「二手に別れましょう、僕と牙は津々の後を、風節は部屋に居る女性の鬼に事情を聞きに行ってください」


「ああ、了解だ」


風節は車から降りアパートへと向かい。牙と瑞稀は車で出かける津々の後を車でつける。


風節は津々の部屋の呼び鈴を押すと13代後半位の若い鬼の女が出てくる。


「はい、どちら様でしょうか」


「監禁はされてないようだな、私は地獄の暗部のものだ話しがある部屋に上がるぞ」


「ちょちょっと、誰誰!?勝手に上がらないでよ!」


「私は風節だ、おっと!」


鬼の女は風節の首に噛みつこうとするが避けられ溝内(みぞうち)に3発入れら気を失う。


風節は鬼の女を担ぎ部屋に入り手頃なもので縛り鬼の女をゆすり起こす。


「おいっ、起きろ」

風節は女の顔をペチペチ叩く。


「ううっ、何が目的なの?」


女の鬼は牙を剥き出し拘束を解こうともがく。


「芽衣子と香乃と言う鬼を探している。津々太一と言う男が依代だったのでな、一緒に住んでいるあんたに話しを聞きにきた。あんたも津々が依代なんだろ」


「そうよ、私は太一と依代契約した鬼の(ゆい)よ、けど芽衣子も香乃も知らない、私は3日前に人間界にきたばかりなの」


「そうか、ならばあんたも行方不明の仲間入りしたくなければ私の話しを聞きなさい」


「…それってどう言う事よ」


「慈善町では死体も出なければ地獄に魂も回収されてない、そんな行方不明者の鬼が多発しているんだ。私は人間の依代が怪しいとみて調査している」


「太一が?まさか…」


その時風節のフェイスノートに着信がくる。牙からだ。風節は回線を繋げる。


「風節、津々が帰宅したぞ今アパートの駐車場だ、買い物だけだったがどうする?」


「そうだな、私も津々太一と依代契約したふりをして潜入調査を開始する」


「了解、俺達は周りに怪し動きがないか警戒する」


風節は回線を開けたままに設定し何か有れば牙達に伝わるよう警戒(けいかい)する。


(ゆい)もうすぐ津々太一が帰ってくる。口裏を合わせて」


「…はい」


しばらくすると津々太一が部屋に鍵を開けて帰ってくる。

部屋には結と風節、太一と風節の目が合う。


「結ただいまー、ってあれお客さん?」


「太一さんはじめまして、結の従姉妹(いとこ)の風節です。人間界でなかなか依代が見つからなくて結を頼ってきました」


風節がにっこりして津々太一に挨拶する。


「そ、そうなの太一どうにかならない?」


「そうか、慈善町で契約者が見つからないって珍しいな」


太一は不思議そうに風節を見る。


「風節は慈善町の外から来たの」


結が補足する。


「良し、じゃあ俺が風節さんの依代になってくれそうな人間を紹介しよう。ちょうどよく今日は慈善神社のお祭りがあるからな今から行こう」


「お祭り?」


「ああ、2人とも今から行こうか」


「…うん、太一がそう言うなら」

「宜しくお願いします」


困った様な顔の結に気付かず津々太一は靴を履く。


時刻は夕暮れ、3人はお祭りに出かけ牙と瑞稀はその後を尾行(びこう)する。



◻︎


慈善神社の境内(けいだい)は広く小高い山の公園の様になっておりそこに祭りの出店が立ち並び人々が行き交う。


その通りを浴衣を来た炎蓮と華形祭は歩く。炎蓮と華形祭は慈善と待ち合わせる本殿の方に向かう。


伊都岐島(いつきしま)大明神(だいみょうじん)様ですか、良い神様の加護がついていらっしゃる」


そう声が聞こえた気がした。炎蓮は振り向くが声の主は人混みに紛れ分からなくなっていた。


「どうかしましたか」


振り返る炎蓮に華形祭は不思議そうな顔をする。


「慈善の息子ですか…上手く取り込めるでしょうか」


「私は以前会った事あるが良い青年だったよ、確か清麻呂の3人目の妻の末子だ。名を…」


その時炎蓮の知ってる声がする。カメラを持った牙だ。


「よう!炎蓮」


牙が浴衣姿の炎蓮を見つけカメラを向ける。


「炎蓮、記念に一枚写真撮っていいか?」


牙は返事も待たずカシャッとカメラのシャッターを押す。


「牙さん!どうしてここへ!」


「俺は遊びに来たわけじゃないぞ行方不明者のリストの依代の人間を尾行中だ、炎蓮こそ綺麗におめかしして遊んでいるのか速風とデートか?」


「違います!私は調査で仕方なく…」


と、そこへ牙を見つけた速風がやってくる。


「ハニートラップですよ牙さん、炎蓮さんは慈善清麻呂の息子とお見合いして慈善グループの内情を探るんですよ」


速風が牙に短く説明する。


「そうか、そっちも仕事中か、邪魔して悪かったな、俺もターゲットに怪しい動きがないか監視中だからまた後でだな」


牙は離れた場所にいる風節と結、津々を指さす。3人は人混みの中フランクフルトを食べている。


その時津々の叫び声が聞こえる。


「なっ!許してくれっ明るい未来の上納金は必ず払うから!結まで奪わないでくれ!」


津々の近くには13歳位の女の子がいる。


「そうか…ならば依代である人間の実験台も欲しい所、おまえが身代わりになるか」


女の子は津々の足に注射器を突き立てる。


「ギャー!結は明るい未来にやるから、俺は助けてくれお願いだー!」


「もちろん鬼も目撃者も此方(こちら)に渡してもらう」


女の子は結と風節にも注射器を持ち襲いかかる。風節は注射器を避けるが結は注射器を刺されてしまう。


「いっ、痛い!」


そんな事をしている間にギャラリーが集まり人だかりができる。


「目撃者が多すぎる、今回はここまでで許してやろう」


注射器をさした女の子は人混みの中へ駆け込み姿を消す。


津々は体が膨らみはじめ巨大な化け物になる。


20代半ばの青年が鬼人化し化け物が人だかりに行かない様誘導する。


「戦える方はいますか?援護をお願いします!」


誰も名乗りでないが青年は化け物を刀で切り裂いていく。


化け物は大量の出血で倒れる。当たりは血の海だ。


「神社の周りには化け物が入れないよう結界を張っているのですが…」


青年は切り刻んだ化け物を見て真剣な表情で呟く。その時青年のすぐ後ろから化け物の断末魔が聞こえ振り返ると炎蓮が2体目の化け物になった結を刺し殺していた所だった。


青年も炎蓮も身体中化け物の返り血だらけだ。


相変わらず速風はカメラで撮影しているのが見える。映画で使おうと思っているのだろう。


「助けて頂きありがとうございます。僕は慈善美音八(みねや)と言います。後日改めてお礼にさせて頂きたいのでお名前と連絡先を…」


「え、慈善?」


戸惑う炎蓮に華形祭が駆け寄ってくる。


「美音八君!この子は私の娘だ、良かったらお見合いしてみるか?強くて美人だろ女優もしてるんだ。お父さんの清麻呂には私から話しておくから」


「華形さん!?もちろん素敵なお嬢さんですねお名前はなんと?」


「…炎蓮です」


「華形炎蓮だ、今日は2人とも血だらけだからまた日を改めて連絡しよう」


「ははっ確かに、この血だらけのままじゃお嬢さんをエスコートできませんね、ではまた後日お会いできる日を楽しみにしています。それでは」


この日炎蓮は慈善清麻呂とは会えず御ニの家に帰る。


「何で風節さんも牙さんも速風さんも戦えるのに出て来なかったんですか」


炎蓮は苦い顔3人に詰め寄る。


「周りの様子を見てたんだ、それに鬼だとバレると厄介事が増えるかもしれんしな」


風節は暗部として当然だと答える。


「俺達は鬼だ鬼は助けるが人間はどうでも良いしな」


牙は悪気無さそうにサラッと口にする。


「…撮影が忙しかったのでつい」


速風は申し訳無さそうな顔をする。


その時炎蓮と風節、牙にフェイスノートに着信がくる。暗部の上司の黒鉄からだ。


メッセージを確認し風節がフェイスノートで黒鉄(くろがね)と回線をつなげる。


「黒鉄隊長3人いっしょです。行方不明者の調査停止とはどういった成り行きでしょうか」


「俺にも分からん上層部からの指示だ。兎に角(とにかく)調査はここまでだ。暗部を首になりたくなければ早く帰ってこい」


と、風節のフェイスノートの回線は切れる。


「私は暗部を辞めて人間界で行方不明者の調査のため慈善町を探ります」


「私は地獄に戻り上層部を探る。叩けば(ほこり)が出るかもわからんしな、牙、炎蓮と私の伝達役を頼めるか?フェイスノートはハッキングの可能性があるからな」


「ああいいぜ、任せてくれ」


炎蓮、風節、牙はそれぞれの役割を決め分かれて行動する事にした。

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