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2話 シークとイルと吸血カメラ

血だまり池から帰ってそれぞれ休息をとったシークとイルは酒場で食事をしている。


「なあイル、俺達も亡者ハントをネット配信デビューしないか?閲覧数が伸びれば広告収入かせげるし有名人になれるそしたら…」


「そうしたら3年前に失踪した姉貴の手掛かりの情報が入ってくるかもってか?むしろ大々的に情報提供呼びかけたら状況悪化って場合もあるんじゃないか?」


「うん、そこは気を付けてみるよ、だけど可能性があるなら試してみたい」


「じゃあ撮影カメラ探してみるか」


「ありがとうイル!」


シークとイルは食事を終えると電気屋やカメラショップに品定めに行く。



「自立浮遊追跡型のカメラが欲しいんだよな、あとネットに繋げるための端末も欲しいし、どれも高いなぁ…」

「なあシーク、中古で探してみないか?」

「あっ!それ名案じゃん!」


2人はリサイクルショップを目指す途中古びた商店の呪術ショップで「(いわ)く付きの商品格安で売ります」との張り紙を見つけた。


「ここ見てみないか?」

「そうだな、俺ら曰く付きでも気にしないし大丈夫だろ」


シークとイルが入店するとカランカランと来客を知らせる鐘がなり店の奥から店主が現れる。


店主は頭皮が薄くアロハシャツを着ているにっこりした口元からは金の差し歯が見える。


「どのような(のろ)いのアイテムをお探しで?当店では初心者からつかえる簡要セットから上級者向けの本格的な道具まで揃えておりますよ」


「ネット配信する為の端末とカメラ探してるんだけど曰く付きのでいいから安いのないかな?」

シークが尋ねる。


「それなら何度もうちの店を出入りしている商品がございますが、少々お待ちを」

店主は店の奥からカメラと端末を持ってきた。


「持ち主が次々と生気が亡くなり果てには行方不明になってしまう何やら曰く付きの商品でございます。旧型のモデルになりますし、私も気味が悪くて扱いに困っておりますのでよろしければ無料で差し上げますよ。」


「そんなの偶然だろ、無料なら譲ってくれないか?」

シークが顔を輝かせお願いする


「もちろんでございます。」

店主は愛想よく答える。


カメラは無料で譲ってもらい携帯端末は連絡用も兼ねて1人一個づつ購入することにした。


「ネットに接続する手続きも頼む」

イルが店主に新たに注文をつげた。


「承知いたします、こちらに必要事項をご記入くださいませ。」


シークとイルは手続きを済ませてカメラと端末を受け取り店をでた。



「カメラでプロフィールの写真とろうぜ!」

シークはイルをカメラ機能で写した。途端にイルが消える。


シークは目を凝らして回りを見回す。イルは居る。

「なあシーク、俺なんか寒気がするんだけど」


「ぅわっ、何これ」

シークはイルにカメラの画像をみせる。画像のイルの顔が歪んでいる。


「これカメラからかすかに亡者の魂の波動を感じるぞ、しかも俺の魂も少し吸い取られてるし、」


イルはシークからカメラを受け取り画像を確認する。


「あ、このカメラ前の持ち主の写真と動画が残ってる」

「このカメラ人間界でも使われていたようだな、写ってるのは人間の魂の形だ、うん?あれこの女の人俺達と同じで魂は鬼だ」


「…人間の姿だけどねーちゃんだ!!」


シークは目をまん丸にしてカメラを覗きこむ。

画像には20半ばの髪の長い女性が写ってる。パッとみは人間の様な姿だが鬼は人に姿をかえられる。


「シークの姉貴か!どこで撮られたかわかればなぁ、人間の姿してるってことは人間界にいた時の写真か?それとカメラには魂を切り取るって迷信もあるがこのカメラはそれができるらしいな、だが俺らの魂まで吸い取り続けられたらかなわん、どうにかせんとな」


「今写真の人影が動いた!!?」

画像を眺めていたシークが指さす先が確かに動いている。


「そういえば、さっきイルを写真で写したきイルが消えたような気がしたんだ、もしかしたら動画で撮影しつづけたらカメラの中の世界に行けるかもしれない」


「そんな怖い実験誰がするんだよ!?」


「俺が行く、ねーちゃんがカメラの中に閉じ込められてるかもしれないんだ、助けださないと!」


「シーク勝算はあるのか?」


「分からない、でも俺は行く!」


「それじゃあ撮影モードでとるからな」


イルはカメラを録画モードにしてシークを撮影した。途端その場からシークは消えたがカメラの中の動画が動きシークが歩きまわってる様子がわかる。


「シーク上手くカメラの世界に入れたようだな」



シークはカメラの中の世界の住人である亡者の魂の間を駆け抜けて姉を探した。途中シークに気づいたものが話しかけてくる。


「…私たちはカメラの持ち主に殺された」

「あんた達助けてくれ」

「ここからだして」

「殺された今も俺達はコレクションなんだ」

「あいつは死んだ後も私たちをカメラに縛っている私たちを助けて」


シークは亡者の声を聞いてる内意識が飛びそうになる。


「大丈夫?シークこんな所でどうしたの?」

姉の声がしてシークは手を握られる。シークは声の方を振り向くと姉がいた。


「ねーちゃん!助けにきたの」

シークは姉の声と手の感触で意識を取り戻した。姉に抱きつきここまでの経緯を話す。


「そうだったの、心配かけてたのね」


「ねーちゃん一緒にカメラの外の世界に帰ろ!」


「シークごめんそれは出来そうにないの…私は魂の片鱗(へんりん)で本体ではないの、私の最期の記憶ではよく思いだせないけど人間界にいたわ」


2人が話しているとシークの背後から黒いモヤが伸びてくるのを「そこのあんた消えなさい!」

とシークの姉がキッと睨むとカメラの呪縛の亡霊は消えて空気が軽くなった。亡者の魂がシークの足元に転がる。


シークはカメラの曰く付きの元凶である亡者の魂を回収した。


魂の回収と同時にシークはカメラの外の世界に戻る。


「ありがとう」「助かりました」「やっとでられたありがとう」「ありがとう」「ありがとう」「ありがとう」

カメラの画像に残っていたたくさんの人間の無念が果たされカメラから解放されていく。


天国行きの亡者の魂は天使が回収して行った。

シークとイルは地獄行きの魂を回収する。


帰り道シークは再びカメラでイルを写した、上手く撮影できてる。


「今回のハント撮影出来なくて損した気分」


「まあシークそんなにむくれるなって、タダで貰ったカメラが直って良かったじゃないか、それにカメラの中で姉貴にも会えたんだろ」


イルはシークからカメラを受け取り設定した

「ほら、シークが欲しがってた自立浮遊追跡の機能もちゃんと動作するし」


カメラは空中に浮いて2人に着いてくる。

シークとイルは2人が映る映像を端末で時々確認しながら獄安協会へ向かう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


2人は獄安協会に入り亡者の魂を換金する、

「地獄行きCランク1つと、Fランク2つでございますね、報酬はこちらになります。またのご活躍期待しております。」


シークとイルは報酬を受け取り獄安協会を出る


「イル俺、俺ねーちゃん探しに人間界に行ってみようと思うんだ」シークはつぶやくよう言葉を絞りだした。


「俺も付き合ってやるよ」


シークは頷く。「ありがとうイル」


「人間界に行くのには旅費がいるし先立つものは金だな、しばらく亡者ハントで稼ぐか、が今日はもう疲れた宿で休もう」


「うん…」


「シーク元気だせよ、姉貴人間界で見つかるといいな!きっと大丈夫さ」


「うん、ねーちゃん生きてるよね」

シークは空を見上げて自分を納得させた。

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