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19話 烈華とパワーネーム

土伏家に乗り込んだ同日、烈華は正午12時に目覚める、いつの間にか眠っていたらしい。今日は父も母も仕事でいない。


1階のリビングに降りて食事をとりテレビをつける土伏家のニュースはどこも流れていない。


「烈華起きたか」

犬の姿のイルが庭からリビングへ続く窓を器用に開けて外から家へ入ってくる。


「夢じゃない…喋る犬だ」

烈華はイルをモフモフ触りながらこの短期間の出来事を思いだす。


「そういえば土伏と言う娘は朝方引越して行ったぞ、今は違う家族が向かいの家に住んでいるはずだ」


「土伏さん…」

烈華は土伏奏恵の事を思い出しながら罪悪感を感じずにはいられなかった。


烈はふとフェイスノートを開く。烈華のなりすまし動画や感じの悪いなりすましの呟きは全て消去されていた。


「良かったな話しの通る娘で」

イルもフェイスノートを確認してみる。


「…うん、でもなんか複雑な気分」


「あっ、そういえば魂を導く者さんからメッセージ届いていたんだけどイルこれどう思う?」



烈華はイルにフェイスノートのメッセージを転送する。

『ねこねこ輝く目力さん、このメッセージが確認できたという言葉は貴方も能力者なんですね、俺は今とある施設に閉じ込められています。お願いです助けて下さい』


「ねこねこ?って誰だ」


「ねこねこ輝く目力はれっくんがスマホで遊んでる無限の旅人ってサイトのニックネームだよ、魂を導く者さんはサイトのお友達なんだ」


「動画もあるの」


動画は誰かの視点だろうか?移動するたびに左右に少し動く。視点は田舎道を歩き長い石の階段の前にとまる。階段の傍には石碑に慈善神社と名が彫られている。視点はそのまま階段を上がって行く。


階段を上がりきると視点は神社の拝殿はいでんの扉を開ける。中に何かうずくまっている。


『ガガ、ガガッガガが血が…たリネ、ぇ…』

蹲った何者かは起き上がる。その姿は昔から日本で絵に描かれた怖い鬼の化け物そのものだ。


そして鬼は動画の視点の主に飛びかかる。


『シーク正気を保て!…いや、俺もそろそろ限界か…』視点の主の声だろうか、男の声がする。


そこで動画は終わっていた。


「シーク?」

イルが呟く。


「シークってイルが探してる人だっけ、化け物なの?魂を導く者さんとも知り合いなのかな」



「多分俺が探している連れてだ、姿が変わっても魂の波動で分かる、それと多分この動画は契約者が式神の目を使い動画にしている方法だな」

イルは頷く。


「慈善神社は烈華の氏神神社だったな、もともと行く予定だったし今から行ってみよう」


「うん!」


慈善神社は烈華の住んでいる新興住宅街ひかりの月から山を下った昔ながらの地域で畑や田んぼに昔ながらの家々や真新しい住居がまばらに立ち並んでいる。


烈華とイルは原付バイクで慈善神社に訪れる。


「ここ慈善神社には今は神様は不在のようだな」

ぬいぐるみから抜け出て犬の姿のイルが石の階段をくんくん匂い歩く。



「えっ?神様いないの?」


「ああ、神聖な波動が皆無だ、それより拝殿に急ごう、連れの安否を確認したい」


そう言うとイルは石段を駆け上っいくので烈華も走りついて行く。


烈華が駆け上がると獣人姿のイルが鬼の化け物2体と対峙していた。


「シーク俺だ!イルだ」

イルは鬼の1体に呼びかけてはいるが反応がない。


鬼の化け物2体はイルをすり抜け烈華に飛びかかる。

「うわぁ?!私が狙われてるんじゃけど」


イルが烈華に駆け寄り盾となり攻撃を跳ね返す。

「2人とも契約者の依代と離れて化け物化が始まってるな、神様か天使がいれば何とか…」


「神様ならキララちゃんがいるじゃん、慈善町は管轄外みたいだけど」


「そうだった!烈華何処かに隠れてフェイスノートでキララ姫様を呼んでくれ!緊急事態だと伝えてくれ」


「わかった」

烈華は拝殿の中に隠れフェイスノートを開きキララに事情を話す。


「そうじゃのう、わらわが助けにいけれんけぇのう、烈華、わらわの真名まな綺羅良を唱え天の使いを呼び出す事はできるかのう、神が不在といえ神社は神聖な場所やってみる価値はあるかな」

かなっとキララは語尾を現代風に言ってみる。


烈華はフェイスノートに映し出されるキララの真言を見る。


「えっ!この真言、神の使いの名前がわからないとダメじゃん」


「わらわは友達が…」

キララはしょぼんとする。


「そうだイルなら誰か知ってるかも!悪魔だけど…」

烈華は拝殿から飛び出し鬼の化け物と防御を貫くイルに尋ねる。


「イル、天の使いなら呼べれそうなんだけど誰か名前知らない?」



「天の使いって天使の事か?ノフルってのが知り合いにいるぞ」


「わかったありがとう」



「出来れば早くしてくれ俺も不死身じゃないんでな」

イルも戦況は苦しそうだ。



急がないと!烈華は真言を確認する。

「我が名は烈華、我が友綺羅良の名とイルの名の力を借り神の使いであるノフルをここに降臨願う」


烈華が真言を唱えると神社の天から光がさし天の使いが現れる。天使は片羽でよく見ると体はつぎはぎだらけで見た目はゾンビだ。


「天使様?…貫禄かんろくありますね、流石イルのお知り合いです…すみません褒め言葉です」


「なんですかそれ?私は好きでこんな見た目になったんじゃありませんから…」


「あっ!それより天使様助けてください」

烈華はイルと鬼の化け物の方を指差す。


「よう、ノフル久しいな、早速だがこの鬼の化け物2体の化け物化を解いてくれんか?一体はシークだ」


ノフルはイルの方を見て驚く。

「その魂の形はイルさん?…シークさんともう1人は危険な状態ですね、…きっと私を笑ったバチが…いえいえなんでもありません」

ノフルは首を左右に振る。


「聴こえてるぞ、悪かったな許してくれ、その節の事は謝る」


「…化け物化を解くには契約者の依代の変更をしなければなりませんがこのお嬢さんで大丈夫ですか?それとお嬢さんではイルさんを合わせて3人の依代は荷が重すぎます、もう1人の鬼の方には地獄へ帰ってもらう事になりますが大丈夫ですか?」

ノフルはイルと烈華に確認する。


「烈華頼む、俺の家族なんだ」


「そう言われちゃ…良いっていいたいけど、確認だけど何か私に負担とかあったりするんかな」


「それなら大丈夫です。2人分の契約者なら烈華さんの

キャパシティ内の霊力で足りますから負担はありませんよ」

ノフルが笑顔で答える。見た目と違い爽やかだ、


「そ、そう、なら契約者になるよ」



「はい、承知致しました。では、我が名はノルフ、天界の父の力を借り2人の契約を解除します。2人の魂と肉体を清め正気を戻し、シークの新しき契約者は烈華に、もう1人の鬼は地獄の馴染みの場へ転送します」



イルと対峙する2人の鬼の化け物は光に包まれ1人は消え、1人は側頭部から渦巻き角が生えた鬼の少女が姿を現す。


「シーク!しっかりしろ俺だイルだ!」

イルがシークに駆け寄る。


「イルにノフル…あれ、俺どうしたんだっけ」

シークは眠そうに頭を抱える。


「シークは3カ月前俺と別れて人間界に先に来たはずだ、すまない探すのが遅くなった」


「っあ、キバや泰徳はどうしたんだ、なんか色々思い出してきた」


シークは思い出した出来事をイルや烈華ノフルに話す。


「そうか、多分地獄に帰った鬼はキバだといいんだが」シークは考えこむよう俯く。


「確かめる方法かぁ、フェイスノートって連絡取れないの?」烈華がシークに尋ねる。


「やってみる」

シークはフェイスノートを開きキバにメッセージを送る。


返事はすぐこなかったので様子を見る事にした。


「そうだ!イル、ねーちゃんがこの神社のお祭りで撮った写真があったんだ」


シークは宙に浮くカメラを手に取りカメラの写真をイル達に見せる。


「確かにこの神社だな」


「この写真からは神社に神様がいる気配が感じられますね」


「この地区慈善町を守る氏神さまが神社から消えたって相当な事だぞ、大丈夫かこの町」


「この女の人がシークのお姉さんなんかな?どっかで見たことあるような、どこだっけ」

烈華がうーんとカメラの写真と睨めっこする。


「思い出せそうか?」


烈火は左右に首を振る。

「なんかテレビでみたような…」


「テレビか、手がかりが増えたよまた思いだしたら教えてくれ、ありがとうな烈華」

シークがニコとしながら感謝する。


「あ、あの話は変わりますがシークさんの話しの中の小川泰徳さんって私のゲーム仲間の魂を導く者さんと同一人物じゃないかなーって思ったんですが」


烈華はフェイスノートで魂を導く者からきたメッセージと動画をシークに転送する。


シークは烈華からの転送分を確認し自分のフェイスノートのメッセージを確認する。

「あっ、多分同一人物だ俺の所にも泰徳から何件かメッセージきてるんだけど、信用できる人物にメッセージを送ってみるってあるわ、ねこねこ輝く目力さんって名前もあるぞ」


「ねえシークさん、記憶画像で泰徳さんの画像みれないかな?」

烈華はワクワクしながらシークに尋ねる。


「そいつを助けて何かこっちにメリットあるのか?破滅型転生者とか危険じゃないか?」

イルがサラッと質問する。


「いいえ!絶対に魂を導く者さんは良い人です!破滅型転生者って何かの間違いですよですよ助けないとですよねシークさん!」

烈華はシークに同意を求め顔を見る。


「そういえばシークさんとの契約まだでしたね!私の願いは魂を導く者さんである小川泰徳さんを助ける事にします!」


「いいだろう、俺の願いはねーちゃんを探し出すことだ」


「そういえばイルとの契約は連れであるシークさんを見つけて成立したんじゃないのかな」


「いや、オレは連れを探しているって言ったはずだ、シークの姉貴も俺の連れだまだ契約は続いている」


「なんかイルずる賢くない」



「烈華、コイツが小川泰徳だ。記憶画像転送したぞ」


烈華はシークのフェイスノートでメッセージを開く。画素は何枚かあり画面をスライドして見る。


「わっ、この人めっちゃタイプ!私好みなんだけど…泰徳さん彼女いるのかなー、助け出して愛の告白して…2人の甘い時をすごしたいわ!」


烈華はさらにスライドしてみる。


「…誰この女の人めっちゃ美人じゃん、れっくん撃沈」

烈華は心のまま言葉を発信し泰徳と見知らぬ女性の2ショットが写った画素を見てブルーになる。


「あ、その女の人は俺とキバと泰徳がお世話になった清流って言う能力者なんだ、泰徳の従姉妹いとこだそうだ、能力者としての腕は良いんだがガッチリ監視されてるようだから不用意に近づくのは危険だ」



「従姉妹なんですね、しかも凄腕、こっそり会いましょうシークさん連絡お願いします!」


「あぁ、仲間は多い方がいいからな、聞いてみるよ」

清流からも何十件かシークの安否を心配するメッセージが届いている。シークはフェイスノートでその返答と烈華の提案をメッセージで送る。



「ありがとうシークさん!」



ノフル「お話中ちょっとすみません、烈華さん初対面で言うのは差し支えがあるかもですが隠し名ですか?ありますよね、変更した方が良いですよ、真名が影ってみえます」


イル「烈華、隠し名あるのか?」


烈華「私の隠し名は絶望ぜつぼう。絶は他よりかけ離れてすぐれるって意味で、望はより良い事態を心から期待する思いって意味よ。」



ノフル「その隠し名は良くないですね、どれだけ意味を込めた言葉でも音はそれだけで意味を成す。多分日頃運が悪いと感じるのも絶望という隠し名の仕業でしょう」



イル「だが、烈華に他者からのまじなの影響が少なかったのもその絶望って隠し名があったからかもな」



烈華「うーん、そうなの?カッコいいと思ってたんだけど…、じゃあ新しく考えてみるよ」


イル「希望とかはやめろよ、安易な言葉すぎるし絶対数が多すぎる。すぐ見破られてしまうからな」


烈華「うん、決まった!れっくんの新しい隠し名」


イル「俺には言わなくてもいい、キララ姫様に隠し名の加護をお願いしておけ」


ノフル「私も協力したいのですがこの神社の敷地からは出られないので、私は天界へ帰って別の方法を探してみますね」


烈華達はノフルを見送る。




烈華「イルとシークも隠し名とかあるの?ってか、その前にイルなんか難しい名前だったけどなんてよむの?」



イル「そうだな俺のフェイスノートの名前は漢字はでたらめなニックネームだ、今までどうり呼び方はイルで良い」


シーク「俺は隠し名は無いが肩書きと真名は他にあるな、真名を知られると言う事は魂を操られてしまう場合があるから他言せんがな」

シークが答える。


烈華「そっか、私も隠し名しまっとこ」


「絶望さようなら!」と烈火は山に向かって叫ぶ。


烈華と、イルは犬、シークは人の姿に変わり、とりあえず烈華の家にもどり両親にはシークは友達で暫く烈華の家に居候させてほしいと頼み込んだ。


「お願いお父さんお母さん!私の数少ない友達なの!シークさんはハーフなんだけど両親が離婚して一緒に暮らしていたお父さんが再婚して海外に帰ったみたいで今日本で頼れるの私しかいないみたいなの」


「どうする母さん」


「そうねぇ、可愛いからゆるしちゃうわ、いいわよシークちゃん」シークはちゃんづけは我慢した。


「ありがとうございます。お世話になります」





シークが御魂家の家に居候始め翌日

昼夜逆転から生活リズムが整いはじめた烈華がリビングでTVを見ながら朝の10時のおやつを食べてアルバイト情報誌をめくっている。


シークはまだ寝てるしイルは犬の姿で外を偵察に行っている。


「うーん、接客業は怖いし、計算も勉強も苦手だし、介護は求人多いけどれっくんコミュ症だし自信ないし、工場はどうかな?…職務経歴書か…はぁ〜あぁ、未経験でも良いよって所ないかなぁ…」


烈華が1人でうなっていると2階からシークがドタドタと駆け下りてきた。


「烈華!清流からフェイスノートの返答が来たぞ!」


「えっ!あの綺麗なお姉さんから!?」

実際には烈華26歳、清流19歳で烈華の方が年上だが清流の方がしっかりしてそうで大人びてみえる。その逆で烈華はどことなく頼りない。


「よし!ねこねこ輝く目力同盟いざ!!」

烈火は目を輝かせシークからの転送メッセージを読む。




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