表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/57

12.七月三十日

明かりを落とした部屋の中。


ベッドに仰向けに横になる。


運動で疲労した体は倦怠感があり、目を閉じるとすぐに眠気に誘われる。


微睡む意識の中でやっぱり思い出すのは空のこと。


今頃勉強でもしているだろうか。


もしかしたら俺のことを思い出していたり、なんてことは流石にないか。


ふぅ、と息を吐き、体の力を抜く。


空に告白されてから、それ以前よりも一緒にいて痛みを感じることが少なくなった。


それはお互いの関係の変化でもあるし、俺の気持ちの変化が理由でもある。


だけどまだ、俺は空に正面から向き合うことができない。


関係を壊してしまった俺の後悔と、あの大会での空の後悔を、清算するには俺が本気になれることを見せないといけない。


どういう結果になるにしろ、空の気持ちに答えるには、俺はもう大丈夫だと示さないといけないから。


机の上には、野球のグローブが載っている。


俺の中学時代の後悔と、根拠の無い万能感を持っていた思春期を終わらせた、失敗の象徴のようなそれをじっと見つめる。


それでも、あのグローブと、白球にかけた青春は本物だったと思う。


二年の月日は長すぎて、もうあの頃の気持は思い出せないけれど。


カーテンを開けたままの窓の外には、まだ明かりの点いている空の部屋が見えた。


スマホを手に取り、一郎へLINEを送る。


明日は七月三十一日。


終業式の日。




次回、最終話。

『13.本気の勝負』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ