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お役立ちシリーズ

王侯貴族ものの基本

私が調べてみた、中世欧州がモデルの世界を作り上げる場合に必要な基本知識です。

中東のアラブ系の場合は調べていません。

あくまでも『中世欧州がモデル』の場合です。


中世欧州の王侯貴族を書いている作品に、ちょくちょく基本を知らないっぽい呼称や敬称、設定があるのを見るにつけ、しっかり基本を抑えた上でオリジナル要素を付け加えた方が説得力があるのに、と思っていました。

ツイッターでこれらの元となるツイートを流したところ、193RT・454イイネを記録し、こういうものが必要とされている事を痛感しました。

そのツイートを元に、だいぶ手直しをしたのがこの纏めです。

英語読みを追加すると更にややこしくなる為、ここには英語読みはあえて書き加えておりません。

あくまでも日本語のみで記していますので、英語読みを書きたい場合はご自分で調べてください。

 ※ただし、英語読みも必要と思われる方が多く、要望が多ければ追加するかも。

 

 

 王侯貴族モノを書くのなら、最低限の事は理解しておく必要があります。

 基本的な事 (リアリティ)+α(オリジナル要素)

 基本的な事を押さえた上でのオリジナル要素追加なら説得力も違ってきます。





【王族の敬称】


❍陛下❍

 王・皇帝(またはその配偶者)を呼ぶ時の敬称。(日本の皇室典範に記されている)

 皇后(皇帝の配偶者・正妃)の場合も陛下になる。

 女王の配偶者である王配は陛下とは呼ばない。


❍殿下❍

 王・皇帝・女王以外の王族の敬称。女王の夫である王配や、王・皇帝の弟も殿下。

 王・皇帝の配偶者の場合でも、その国の法律で敬称が殿下と定められている場合は殿下で良い。


 ※個人的に中世欧州がモデルの世界観ならば、王・皇帝の配偶者である王妃・皇后・皇妃の敬称は『殿下』が適切だと思っています。


❍王太子・皇太子❍

 次代の王・皇帝・女王になる者。

 通常は一人だけ。

 ※サウジアラビアには「第二王太子」がいるとの事ですが、特殊例ですね。


❍王族の配偶者の敬称❍

(中世がモデルの場合)


 王妃殿下・皇后陛下・皇妃陛下。

 王太子妃殿下・皇太子妃殿下。

 王子・皇子妃殿下。


 女王の配偶者である王配の場合、『殿下』となる。

 


❍王族・皇族の配偶者❍

 王の配偶者は王妃。皇后ではありません。

 皇帝・天皇の配偶者(正妃)は皇后、または皇妃と呼ばれる。

 女王の配偶者は王配。

 ※女帝の配偶者の場合、王配に準じて皇配と呼称しても良い。(あくまで創作の中の設定)

 王女(あくまでも降嫁せず王族に留まる場合)の配偶者の場合、爵位に応じた敬称に。


❍貴族の呼称❍

 貴族への呼びかけ方ですが、正式な場では「閣下」が基本です。

 『名前+爵位』 はあり得ません。


✧公爵

 正式な爵位名は『○○公爵』

 少し砕けた場では『公爵』


✧侯爵

 正式な爵位名は『○○侯爵』

 少し砕けた場では『○○卿』


✧伯爵

 正式な爵位名は『○○伯爵』

 少し砕けた場では『○○卿』


✧子爵

 正式な爵位名は『○○子爵』

 少し砕けた場では『○○卿』


✧男爵

 正式な爵位名は『○○男爵』

 少し砕けた場では『○○卿』



✧準男爵や騎士(通常、貴族扱いはされない)

 正式な爵位名は『名前+家名+卿』

 正式な場での敬称は『名前+卿』

 少し砕けた場では『名前+卿』



❍貴族の配偶者❍

 『爵位号+爵位+夫人』が正式。


 例:バークランド公爵夫人


❍貴族の子息令嬢の呼称❍

 『爵位号』+卿

 『名前』+卿


 『爵位号』+令嬢

 『名前』+嬢


 例:バークランド公爵家の場合

   (息子エルンスト、娘アリスティア)

 子息→バークランド卿

   →エルンスト卿

 令嬢→バークランド嬢

   →アリスティア嬢





【爵位に関して】


 ❒大公❒

 王族の王以外のものや、分家の長が称することが多い。

 設定しなくても問題はない。

 小国の君主の場合もある。


 ❒公爵❒

 貴族の最上位で王位に次ぐ称号。

 王族の血を引く家系。王族の傍系。

 または、功績(戦功)が大きく、王がそばに留め置きたい場合に叙爵(爵位を与える事)する事もある。その場合、王女・皇女の降嫁という報奨で、血統に正統性を持たせる。

 王太子・皇太子が戴冠し、それ以外の王子・皇子を公爵に叙爵する場合もある。

 公爵家を設定するなら多くても五家程度に収める方が良い。


 ❒侯爵❒

 公爵の下位、伯爵の上位になる爵位。

 上位(高位)貴族。


 ❒辺境伯❒

 上位(高位)貴族。国境付近に防備の必要上置かれる。防衛上、辺境だがそこを突破されると不味いので、充分な武力(辺境騎士団や辺境伯軍など)が必要。その地位の性質から国を絶対に裏切らない忠誠心の高い者を任じる必要がある。領地は広大。

 設定しなくても構わない。


 ❒伯爵❒

 侯爵の下位、子爵の上位。

 ここまでが王族と結婚できる高位(上位)貴族とされる。

 公爵家が持つ爵位の一つとされる場合もある。


 ❒子爵❒

 下位貴族。伯爵の下位、男爵の上位。

 高位貴族(主に公爵家や侯爵家)がいくつか持つ爵位の一つともされる。

 高位貴族の子息が親の所持する子爵位を継ぐ事もある。

 通常の子爵の娘の場合、王族との婚姻はあり得ない。


 ❒男爵❒

 下位貴族。荘園、小規模領主。村や町一つを治めるのがせいぜい。

 広大な領地は持たない。王族との婚姻はあり得ない。

 また、一代限りの場合もある。



 ❒準男爵❒

 貴族とは扱われない。領地も持たない。

 一代限り。


 ❒騎士爵❒

 貴族とは扱われない。騎士として功績があり、しかし貴族に叙する事が出来ない程度の功績だった場合に与えられる名誉称号。

 一代限り。



 大公、準男爵、騎士爵は設定しなくても良い。

 貴族モノで最低限必要な爵位は、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の五爵。

 辺境伯は、近隣国を出す場合は設定しておいた方がいい場合もある。


読んで頂きありがとうございましたm(_ _)m


2020年1月4日

 読者の指摘により、皇后の敬称変更。

 同、皇配について記載。


 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 爵位に上下があるのは中国の考えで、ヨーロッパでは爵位による上下は関係ありません。 フランスにおける筆頭爵位は、パリ伯で、ブルボン公やブルゴーニュ公よりも上位の扱いとなります。 イギリス…
[一言] 読ませていただきありがとうございます。 本作のような資料を誰もが待っていたと思います。 私も令嬢モノなど書く場合、参考にさせていただけたらなと思います。
[一言]  読ませていただきました。  参考になります。  やっぱり基本的なところはおさえていないと、お話にリアリティーがなくなりますよね。  ありがとうございます。
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