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使えるものは闇でも使う


「――成る程、一ですか……」

「――ッ!」「むぅ……」

「ほぉ、それを聴いて二に直すイッセノデ三!!」

「あ!!」「くぬっ!!」


 コフランが残っていた片手の親指一本、バーヌさんとデュランさんが一本ずつ指を上げていた。


「はい、上がり」

「くそっ……もう六千四百の負けなのに……」「四千ターラーか……」


 うん、コフランさんが良い様にあしらって一人勝ちしてる。

 因みにターラーはこちらの国の貨幣単位とのこと。


 はいっ! いつの間にやら賭け事に発展しちゃいましたっ!


 そして自分はその前に抜けましたっ! だって勝てる気しないもん!! 賭け代が無いのを言い訳にして!


 ミスリル銀(柔らか金属)やらオリハルコン(刃物鋼)やら手持ちの物の現金換算をご提案されましたが、丁重にお断り致しました! 仮定の資金でギャンブルですかと心の中でツッコミましたよもぉ。それに第一、シヨルラさんに受け取っていただく分を減らすわけにはいきません!!!!


 そのシヨルラさんも一緒にお抜けに。お金に自由が掛かっているというのに、賭け事なんてアレといった感じなのかな?


 マクファーソンさんは二~三ゲームをこなした後「うーん、どうもこういう駆け引きは向いてないみたいですね」とおっしゃってお辞めに。


 そして白熱する最下位争いを横から眺めつつ、それより熱い太陽の光に晒され…………あ……いかん……ボ~ッとしてきた……


 ……この真っ黒けぇのけぇになっちゃったお毛けのせいで、より一層キツいのかな……


 ……うん……ちょっと……しんどい…………


「……あの~……すいません、影作っていいですか……?」

「お!? おぉ」


 デュランさんと負けを争っているバーヌさんは、こちらも見ずに肯定っぽい言葉を投げた。


 なので、自分の頭上に闇を作り出し――――


「イヤ~~~!!!!!!」「ギャ~~~!!!!」「逃げろ~~~!!!!」


 …………あっ……そっか……冷静に考えてみれば、コレも恐いですかね傍目には…………またまた野次馬の皆々様を阿鼻叫喚に……


 ――そして……細い悲鳴も聴こえた……


 息とも声ともつかないそちらに視線を向けると……シスターさんが真っ青な顔で……いやもぉホントすいません……


「あの~……別に何ともないですよ? ほら」


 腕を上げ、その闇の中に手を突っ込んで、ヒラヒラ振って反対側の上に指先をチラチラ見え隠れさせて見せました。

 ……まぁ全くシスターさんの恐怖をぬぐえた様子はないけれど……


「お主は次から次へと……」


 流石の騒ぎに、バーヌさんも勝負の手を止めて苦言を掛けられた。


「すいません、ちょっと暑さでボーッとしてました……」

「何に使うんですか? そんな魔法?」


 そしてマクファーソンさんが、こちらの頭上に浮かぶ闇に向けていた視線を、こちらに下ろしそうご質問を。まぁ洞窟なダンジョンで、直射日光とは縁遠いですもんねぇ。


「いやぁ居るんですよ……光線ぶっ放してくるモンスターが……」


 そうなんです。コレが無いと面倒臭いヤツがいるんですよ……人くらいにデカいウサギのボディに、肌はカエル、首から上はマルっと目玉……その目ん玉から放たれる光線攻撃。まともに浴びると目はやられるし数秒で大火傷だしでエライことに……

 ところがどっこいコイツがあれば、およそ十センチも厚みがあれば、前世の蛍光灯よりも穏やかな光に様変わりです。


 他にもひしゃげた粘土の巨大な山の様なボディから、無数の触手がウネウネうごめくモンスターが。その触手の先端の、多分目玉なところからまた光線……


 おまけに、とあるビーストドラゴンのレーザーブレス……


 まぁ無きゃ無いで避けりゃあいいんだけど、あるとたいへん重宝します。


 因みにビーストドラゴンとは、知性の無い獣なドラゴンの総称。

 知性のあるインテリジェントドラゴンの方々は、一緒にされると逆鱗に触れます。


「……とにかくソレは目立つから止めぃ……」


 うん……まぁ現に大騒ぎになってますからねぇ…… でもなんもしないのも、熱中症待った無しな気が……


「えっと……じゃあこんなのはどうでしょうか?」


 という訳で、とりあえず目立ってる、頭上の闇は消しまして、


 んで……

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