辻を曲がれば
誰かが止めると思ったんだけどなぁ~‥‥
まさかホントに何の縛りもなしに往来を歩くとは思わなかった‥‥
野次馬の方々から辛辣な言葉が飛ぶ‥‥‥ 親方日の丸‥‥じゃなかった。憲兵や軍、冒険者ギルドの皆様方に。
板挟み‥‥お気の毒様です‥‥‥
そんな回りを固める方のゲンナリをヒシヒシと感じながら、大きな通りの十字路を曲がると‥‥‥‥なんかその先が渋滞していた。今回の原因は自分じゃないよねっ、うん。
その原因はなんだろなと先を見やると‥‥ピアノみたいにテラッテラに輝く黒い塗装に、金箔かなんかで絵の様な装飾をした、えっらく高そうな箱馬車が停まっていた‥‥右斜めに傾いて。
あ~アレが立ち往生してるからかぁ‥‥
あ、何か箱馬車の方から、すごく上等な制服っぽい装いの人が、こっちに少し、歩みを向けて来た。なんと言うか前世のテレビで見た儀仗兵みたい。外国の王様とかの、パレードとかで見る感じの。
「お‥‥おぉおいっ!! 一体何を連れてるんだ!!!!」
そして遠巻きに叫ばれた。
「とにかくっ!!!! ソレをこっちに近づけるな!! いいな!!!!」
そして再び足留めに‥‥‥‥はぁ‥‥‥‥
とは言え先と全く同じにはならず、後ろから来た人やら荷馬車やらが、自分達の右側を抜けて行った。そしてある程度するとその流れが停められ、今度は向こうから流れが。要は前世の工事の時みたいな対面通行。
腰を下ろし、何するでなくボヤ~~~ッと‥‥この街、左側通行なんだなぁって思ってると‥‥‥‥
「やっ‥‥! やい悪魔め!!!! ボクが退治してやる!!!!」
――背中に聞こえたその声に振り向くと‥‥なんか小さな男の子が、棒切れ構えて立っていた。