希望の糸は儚く切れる
「ォ、ォォォォオイ軍の連中!! 早く何とかしろ!!!!」
「は、はぁ!!? こうなったのはお前らのギルドのせいだろうが!!!!」
「知るか!!! 俺が決めた訳じゃねぇよ!!!!」
‥‥‥うん、あの冒険者ギルドの偉そうな人‥‥話がまとまったら、とっととどっかに行っちゃったもんねぇ‥‥‥
まぁブルナーさんとやらも、本部に報告にいくって行っちゃったみたいけど。
「とにかくロープだ!!! 早く集めて来い!!!」
「無理ですよ!! あの量でも千切られたのですよ!!!」
‥‥え~~と‥‥ホントすいません‥‥‥
「どうするんだ!!! こんなのをこんな街中で野放しにしておくつもりか!!!!」
衛兵の方も、そりゃもぉ随分殺気立った様子で‥‥
「そうだ!!!魔法で捕縛だ!!! 誰か出来る魔術師を連れてこい!!!!」
「ぃ今からですか!? 流石につかまるかどうか‥
「ゴチャゴチャ言うな!! 何もしないよりはずっと良いだろうが!!!」
‥‥ん? 魔法で捕縛?
「すいません、そんな魔法があるんですか?」
ちょっと好奇心が擽られたのでマクファーソンさんにお訊ねを。
「えぇ。僕も得意というわけでは無いのですが‥‥」
そうおっしゃるとマクファーソンさんは、こちらの左腕に魔法を纏わせた。
‥‥その腕に透き通った青い魔法を見たその時‥‥ この恐慌の中から覗いた一筋の光明に、辺りが色めき立ったことを、ギネッタは気が付かなかった。
なるほど~~ 柔らかい魔法障壁みたいなのを作って縄みたいに使うのね。
でも‥‥‥
「‥これ、休み無しでずーっと使い続けるのって、しんどくないですか‥‥?」
そう、魔法障壁って地味に力を使う。コレも似た様な魔法だからおんなじ感じじゃないかな? だから休み々々使うんならともかく、常時使いっぱなしってなると‥‥懸垂で、鉄棒まで顎を持ち上げてそのままキープするような心持ちじゃないかなぁ‥‥‥
「えぇ、僕なら三~四分が限界ですね。」
「えっとじゃあ、コレの使い道って‥‥」
「使える魔術師を五~六人くらい集めて、二~三人同時に掛けて、一人ずつ交代していく形ですよ」
「あっ、なるほど。」
「まぁ難易度の高い魔法となっているので、そもそも使える者を集めるのが大変なんですけどね」
ありゃま、そんな問題が。
そんな感じでマクファーソンさんの言葉に耳を傾けると共に、ちょっとその腕を捩ってみた。
ほらっ、物珍しいものに縛られたらっ、その塩梅がどんなもんか気になるのが、人情と言うかなんとと言うか‥‥‥
あっ でもあんまり動いたら、流石にちょっと目立つかなっ‥‥?
じゃあじっと動かず、纏わる魔法の一点に、ギュ~と魔力を‥‥‥‥
「あれぇ‥‥?」
おおよそ三十秒くらいだったかなぁ‥‥ 腕に纏ったその魔法が消えた‥‥‥
ギュ~っとしたその一点から‥‥解ける様に、溶ける様に広がって‥‥‥
「なっ!!‥‥‥こ‥これもダメなのか‥‥」
近くの憲兵さんが発したその言葉を耳が捉えた時‥‥‥水面に広がる波紋の様に、落胆の色が広がって行くのに気付いた。
と、同時に、消えちゃった魔法に、皆さんの期待の思いが寄せられていたことにも気付いた。 今更ながら‥‥‥
‥‥‥はぅわ!!!! またやってもうた~!!!!!
黙ってりゃ少しでも事態が前に転がったかも知れんのに!!! これじゃ多分!また話が振り出しに戻っちゃったよ~~~~!!!!!
なんかすいません!!! ほんと~にすいませ~~ん!!!!!
まさかこんな簡単に消えるなんて思わなかったんですよ~~!!!!!