横車、押し合いへし合い
目の前で繰り広げられる、侃々諤々(かんかんがくがく)の口争をボヤ~っと眺めていると、ふと疑問が‥‥
「‥何でこんなに揉めてるんですか?」
なんとも仲の悪そうに
「まぁ‥‥権力団体の主導権争いですね」
‥‥あっ、だからなんか冒険者ギルドの人、安全第二になってるのね。
「‥‥はぁ‥‥‥ 親方日の丸も色々大変なんですね‥‥」
「‥‥オヤカタ‥‥ヒノマル‥‥‥?」
「あっ、自分の前世、人間だった時の国が白地に赤丸の、日の丸って国旗だったんですよ~ だから国から給料貰ってる職業を総じて」
「‥‥はぁ‥‥」
いかんいかん、また妙なことを言ってコフランさんを困惑させちゃったよ‥‥ こっちの世界で日の丸なんて言ったって、通じないよね。
あっ冒険者ギルドは親方日の丸とは違ったかな?ひょっとしたら。
‥‥‥しかしまぁ‥‥‥ 終わらんねぇ~~~舌戦が‥‥‥‥
次第々々にそれぞれ人数が増えていって、どんどんえらいことになってきた‥‥‥
ベヒーモスの危険を声高に叫びダンジョンに追い返すよう主張する憲兵の方々、
この件は軍が預かるから安全が確保されるまでここに留め置くと宣言する軍の方々、
それは冒険者への権力侵害だ、このまま連れていくと言い張る冒険者ギルドの方々、
そして‥‥話が進むにつれ、このまま連れていくのは罷り成らんが、ベヒーモス等という貴重な存在、このまま追い返すのなんてとんでもない。ここで殺してから軍本部に運び、素材として活用するべきだと明言する軍の方まで現れて‥‥‥お~~いベヒーモス本人に聞こえてますよ~~? あっシヨルラさんが怖い顔をしてらっしゃる‥‥ そしてマクファーソンさんが、「まったく‥‥この得難い価値を、まるで理解していない」と呟かれた。さすが好奇心のお人、死人に口無しだもんね。
‥‥で、団体同士、どうやってそれをやるのかとそれぞれ追及されると‥‥‥ 遠回しな言い方だったけど、お前らが手伝え‥‥‥
‥‥権力団体ってどうしてこう‥‥‥
そして、灼熱のお天道様の下、いーだけ言い争って待たされた挙げ句‥‥‥
なんと冒険者ギルドの意見が押し通った。
‥‥自分が思うのもアレだけど‥‥大丈夫かこの国? こう言う組織が法とかルールに弱いのは判るけどさぁ‥‥‥
でも流石に拘束無しとは行かず、前回以上にグルングルンにロープで巻かれた。なんか胴体辺りがビバ○ダム君みたいになっちゃったよミ○ュランの。茶色いけど。
「ギネッタ‥‥」
「すまんのぉ‥‥」
「あっ、いえいえお気遣いなく~~」
シヨルラさんとバーヌさんのお心遣いはありがたいけど、正直これだけでいいの?ってところが本音のところだし。
背負い籠と肩掛け鞄はコフランさんの異空間収納にお任せして、そんなこんなでようやくこのダンジョンの入り口から動ける様な運びになった。
‥‥‥長かったなぁ‥‥‥