表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/85

譲歩する事を譲歩しない


「(‥‥あの‥‥すいません、弓の相場って如何ほどですか‥‥?)」



 そっと‥‥コフランさんに尋ねた。 なんか薄々‥‥シヨルラさんに直接聞いても教えてくれなさそうな気がしたので‥‥‥



「(‥すみません、私もそちらの相場には明るくないもので‥‥‥)」

「(あの大体でいいんです、例えばミスリル銀(柔らか金属)ならどれくらいで

「‥‥ギネッタ‥‥」


 フォワッ! 聞き咎められちゃったシヨルラさんに!!!



「‥‥ギネッタ‥‥は‥‥‥‥‥‥なにも‥‥悪いこと‥‥してない‥‥ だから‥‥‥」


「いやいや!思いっきり商売道具壊しちゃってますから、悪いも悪いですよっ」


「‥‥‥‥親切‥‥に‥‥してくれた‥‥だけ‥‥」


「いや悪気が無いからって弁償しない訳にはいきませんって‥」


「‥‥あっ‥‥えっと‥‥‥ギネッタ‥の‥‥おかげで‥‥収穫‥‥増えた‥‥ だから‥‥」


「いや ソレはソレ、コレはコレですよぉ」




「‥‥‥何やっとるんだおぬしら‥‥‥」


「倒錯した値段交渉ですね‥‥‥」


「本人がいいと言ってるんだから、いいんじゃないですかね?」


 いー訳ないでしょマクファーソンさん!!


「じゃあせめて八割!!! 八割は出しますんで!!!」


 うーん!全然色好い表情になってくれない!!



「‥‥え~と、じゃあ七割!! 七割でどうです?」


「‥‥‥」


 ‥‥ふるふると首を横にお振りになられた‥‥‥



「‥‥六割五分では‥‥‥」


「‥‥‥‥」



 ‥‥‥どうする‥‥? ここは一気に半分に‥‥ いや、そんなに出させちゃったら何かがすたる!! ど~したものか‥‥



「‥‥‥お‥‥おお‥おいっ!!! な、な何をやってるんだ貴様ら!!!!」



 ‥‥‥‥突然、聞き慣れない声が飛び込んで来た‥‥‥


 そちらを見ると、詰襟の服の上から、左胸だけ隠すシンプルな鎧を着た男性が。



「えっと‥‥こちらも軍人さんですか‥‥?」


 一応鎧を御召しになられていたので、取りあえずバーヌさんにお訊ねを。


「いや‥こいつは衛兵だ」


「‥えっと‥‥どういう違いが‥‥?」


「‥‥コイツらは、街の治安を守るのが仕事‥‥と言って、分かるか‥‥?」



 ‥‥‥あっ、なるほど。 自衛隊と警察の違いかな? 前世の日本なら。




「なっ、なな何でこんな危険なもんをダンジョンから出してるんだ!!!」


「こやつを連れ出す様に仕向けたのは、ここを管理しとる冒険者ギルドと軍の連中だわぃ。 文句があるならそっちに言えぃ。」


「‥だっ‥‥‥だ、だからって! 野放しにするとはどういうつもりだ!!!」


「‥お?‥おぉ‥‥まぁ‥そうか」

「早くこれで縛り上げろ!!!」



 おもむろに衛兵さんはロープを突き出した。 しかし細いなぁ、そのロープ‥‥



「は?何を言っているのです? このかたが危険と‥」


「‥‥いやぁ‥いいですよ? どうぞ縛っちゃって下さい」


「えっ? ‥‥あの‥‥いいのですか‥‥‥?」




 すいませんコフランさん、庇っていただいてるのに‥‥でも



「えっと‥‥だって怖いでしょうし‥‥‥」


 そりゃこんなデカい図体がここでフリーダムなら、怖がる人が一杯でしょうから‥‥‥ 


 ですからねっ、据わった目をして衛兵さんを睨み付けなくていいんですよっ シヨルラさんっ!!




「あ‥‥でも、足は結ばないでいただけると嬉しいかなぁ~~と‥‥」


「ん‥‥それはまた何故‥‥」


「いやぁ‥‥なんかあったらダンジョンに逃げれる様にしときたいなぁ~~~‥‥と‥‥‥」



 ‥‥痛い目に合うのは嫌なんで。



 うんなこんなが有りまして‥‥胴と二の腕、後ろ手が縛られております ハイ。

 正座の姿勢でペタンと横に倒れて、縛れる高さにして。


 なんで正座なのかは‥‥‥まぁ‥またお見苦しい物を晒しちゃったらいけないんで‥‥‥



「‥‥‥大丈夫‥‥?」


「‥‥あの~~もうちょっとキツ目に締め上げてもいいんですよ‥‥?」

 なんかずり落ちそうで怖いです。



 そんな優しさとの駆け引きの末、どーにかこーにか縛り上げられ、自分は体勢を直して地面に正座。 なんか時代劇のお白州の気分。



 そして‥‥‥



「‥‥‥暑いですねぇ~~‥‥‥」


「‥‥うん‥‥‥」


「‥‥そうさのぉ‥‥‥」



 再び事態は、ま~ったく転がらなくなった。 そしてお天道様は迷惑なくらい元気‥‥



 ホントこの先、ど~なるんだろうなんて‥ボヤ~~と考えてると‥‥‥




「‥‥‥ん‥‥?」



 ゾワりと‥‥‥体に奇妙な感触が走った‥‥‥


 そして膝の下から、ザリッと異音がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ