柔らかな邂逅は高望み
うっすらと光る苔が、岩肌の所々に小さな斑を描いている。
その淡い黄緑を包み隠す様な炎のオレンジ色が、一歩、また一歩と、この部屋状の空間に迫ってくる‥‥
うわぁ~~どうしよっかなぁ~‥‥
粗暴な父がギャアギャア言ってたことを、真に受けてる訳じゃあないけど、やっぱりチョットは恐怖心がある‥‥
でも前世人間として、今世の人間世界がどうなっているのかも興味が‥‥
‥‥‥‥よし‥‥中ほどにある岩の裏に隠れて‥‥ それからバッタリ会った風を装って、自然に声をかけてみよう‥‥ 驚かせないように、柔らか~い声色で‥‥
「あっ、こんばんは~」
「キャァーーーーーー!!!!!!!」
「べベヒーモスぅ!!!!」
「お前ら逃げろぉ!!!!!」
「何でこんな浅層に!!!」
ですよねぇ~~!!!やっぱりそんなんなりますよねぇ!!
ていうかヤバイ!!!今気付いた!!逃げられて討伐隊なんか組まれたらシャレんならん!!!!
「ちょっと待って下さ~い!!」
タタッと助走をつけ、ミョ~~ンとジャンプ!!皆さんの頭上を跳び越えながら体グリッと九十度捻り、入り口に着地で通せんぼ!!
するちょっと手前から、
「すいません!ちょっとお話を‥‥」
「ヤーーーーイヤーーーーー!!!!!!」
「シスター!しゃがみ込むな走れ!!!」
アチャーーー!悲鳴上げてた白い服の人、とうとう縮こまって頭を腕で庇っちゃった!!!怖がらせてごめんなさ~い!!!