控えめな空と大きな空
「では
「あっ、ちょっと待って下さい。 最初は加減して下さいね」
「‥‥? ‥何故‥‥?」
「‥‥いや‥‥重力を真反対にしたら‥‥あの高さから飛び降りる様なもんですから‥‥」
しかも頭から‥‥‥
ちらりと、ダンジョンの天井に視線を走らせそう告げた‥‥
「‥あっ‥なるほど‥‥」
納得していただけた様で何よりです。
それから数分‥‥マクファーソンさんは集中なされた。
たまに額に指を当て悩む素振りを見せたり、「あれ‥」とか、短く呟かれたりなどして‥‥
‥‥そして‥‥‥
「‥すいません‥‥ちょっと、もう一回お手本を見せて下さい‥‥」
「いいですよ~ こんな感じです~」
どうにも苦戦をなされてた。
まぁ、重力に引っ張られてるなんて発想が無かったんですもんねぇ~、いきなりこんな魔法覚えるのは難し‥‥‥
「‥‥あぁ‥なるほど‥」
‥‥‥不意に背後から声が聞こえた‥‥‥
そしてマクファーソンさんと自分は、思わず振り返った‥‥
‥‥視線の先には‥‥コフランさんがフワフワと‥‥ 膝丈くらいに浮いてらっしゃった‥‥
「‥‥ハ‥‥ハハハ‥‥‥久しぶりですよ‥‥ 魔法で誰かの遅れを取ったのは‥‥‥」
おっとマクファーソンさんが、何やらニヒルな笑いを
「‥‥ひょっとしてこれは時空魔法の類‥‥?」
「‥いやぁ~~どうなんでしょ‥‥ 異空間収納と水の魔法の‥‥同じ位の差は、あるよ~な気が‥‥」
「そうなんですか‥‥じゃあ‥‥」
あっ、なんか尚のこと悔しいって顔をされた。 そしてマクファーソンさんはくっと目をつむり‥‥‥
「‥‥あっ」
ブワッと舞い上がったっ!!! ハシッ!!
‥‥‥咄嗟に伸ばした手は、しっかとマクファーソンさんの胴を掴んだ‥‥ そして
「‥‥‥もぉぉ~~‥‥だから言ったじゃないですかぁ~~‥‥‥」
「‥いやぁ、お恥ずかしい‥‥‥」
再びちらりと‥‥ダンジョンの天井に視線を走らせそう告げた‥‥
「‥‥おぬしら何をやっとるんだ‥‥」
あっ、大きな盾の人が帰ってきた。
「どうでしたか首尾は?」
「あいつらこっちの話を、ひとっっつも信じる気がないわぃ‥‥‥ バカな事を言ってないで、さっさと報告材料を持ってこいとかぬかしおったわ‥‥‥」
「そうですか‥‥‥まぁ‥そうでしょうね‥‥」
コフランさんの問いかけに、そんな言葉が帰ってきた。 ‥‥あぁ~~やっぱりそんな感じなんですねぇ~‥‥‥
「‥‥さて‥‥‥行くぞぃ‥‥」
気が重そ~~な大きな盾の人の言葉と共に、出口に向かって歩みを進め‥‥‥
そしてとうとう‥‥‥自分はダンジョンの外を見た‥‥‥
‥‥‥広い‥‥青空‥‥
‥‥白く照らす太陽光‥‥
‥‥そして‥‥‥顔をくすぐる‥‥澄んだ風‥‥‥
「‥‥いやぁ~~‥娑婆の空気は旨いですねぇ~~‥‥‥」
‥‥なんて思わず独りごちたら‥‥‥なんか皆さんにキョトンとされた‥‥‥
‥あっ、そっか‥‥ こっちには娑婆って言葉は無いか‥‥‥