63/85
そして結び目は解れ行く
獲らぬ狸の皮算用。
コフランさんが挟んだ言葉はまさにそれだった。
自分とシヨルラさんが、すったもんだの押し問答を繰り広げる横から、
「そういう事はちゃんと納品が済んでからにしては如何ですか?」
蓋し名言だった。
そぉですよねっ 皆さんのお目利きを疑う訳ではないけれど、ひょっとしたら売れずにゴミになる物もあるかもだし! そんなの押し付けちゃったら申し訳無い!
あと、あんまり皆さんをお待たせするのもアレだし!
と、言う訳で言葉は止み、シヨルラさんは少し難しそうな表情を浮かべた‥‥‥ そんなに遠慮しなくてもいいのに。ホント律儀なんだから~
しかしこちらも下がらない! こんな自分を人間扱いしてくれたシヨルラさんが、そんな辛い思いをされているなんてやり切れません!!!
そんなこんなで再び歩みは始まり‥‥出したと思ったら割とすぐ、一気に空気が変わった。
そりゃあもう明確に暖かい。そして新鮮な美味しい空気の香りが鼻に押し寄せた。
思わず胸いっぱいに吸い込むと、そこにはほんのりと新緑の風味が‥‥‥
外は、夏なのかなぁ