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ダンジョンを歩く即席パーティ

「ほ‥本当に‥‥本当に出ないですよね?」


「うるさいな‥‥さっきから言ってるじゃないですか。どうせ捏造ですよ」


「そうですぞシスター殿。どうせまた演説屋か新聞屋とグルになった、擦れっ枯らしの仕業でしょうて」


「全くいい迷惑ですよ」


「‥‥‥‥‥」


「‥‥ハァ~‥‥‥‥」


 ダンジョンを進む六人のパーティ。どこかギスギスしているのには訳がある。



 このダンジョンはかなり特殊で、百七十年ほど前、十八層という比較的浅い層が急に、暗闇の向こう三六〇度全方位から、矢やら炎やら岩石やらetcが休むこと無く飛んで来る、鬼の様な難易度になった。

 それから今に至るまで、十九層以下からの帰還例は無く、当然、深部モンスターのベヒーモスとの遭遇なんてあり得なくなった。



 そんな中、ベヒーモスの、浅い層での目撃情報‥‥


 ただ実は、そういう類の話はそこまで珍しくはない。

 ある時は見栄っ張りのホラ。ある時は単純に見間違え。ある時は子悪党の詐欺‥‥


 しかし最近、近いスパンで四件あり、更に足跡らしきものがあったという噂まであった。


 こうなると流石に上も静観という訳にはいかず、急遽調査パーティが編成された。

 と言っても冒険者ギルドが、もしものために当番で義務待機させている中から、適当に三人チョイス。軍から、これまた当番の、戦力兼お目付役が一人。教会からは手空きだった、ダンジョン経験が殆どないシスターが回復役として一人。後はお金を稼ぎたい手空きの弓使いが一人という、連携も何もあったもんじゃない寄せ集めパーティだった。


 じっくり準備期間をかけてとならないのは、十中八九デマだろうと思われているからと、とりあえずあるかどうかも分からない足跡だけを確認してくる日帰りお手軽クエストという設定のため。


 特に当番待機の冒険者達は、黙っていても手当が入るところを、少々の増額だけでダンジョンに潜らされて、尚のことテンションが低い。

 纏わり付く、慣れないシスターに愚痴も飛ぶ。



「ほらっ、ここからだいぶ暗くなりますんで松明に火を点けますよ!少し離れてくれませんか!」


「はっ‥はい‥‥」


 そしていつものこの層の感覚で、さして注意も払わず炎を灯す。


 それが彼の目に届くとも知らずに‥‥

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