弓鳴りは高く
そうだよなぁ‥‥ 柔肌にいきなり唇を付けるは、髪の毛もらってくれなんて言い出すは‥‥ 気持ち悪いったらありゃしないもん‥‥ 弓で射りたくもなるわなぁ‥‥‥
なんて思いが心の中に、乾いた笑いと共に浮かんだ‥‥
二つ目に。
まぁ多分‥‥一つ目に浮かんだ考えの方が、可能性は濃いとは思うけど‥‥ それは‥‥‥
‥‥後ろになんかおる!!!
なので!! とっくのとうに体を捻りつつ横っ飛びですよ!!! シヨルラさんの射線を邪魔しない様に!!!!
走る視線の先には‥‥やっぱりおった! 毒持ち狼が二匹!!
カンッ!!!!!
‥‥‥エッラい甲高い弦音が轟いた‥‥‥ そして矢のスピードが明らかに速い‥‥‥
‥あっ、狼の胴体を斜めに貫通した‥‥‥
多分、前の弦より固くて伸びないんだろうなぁ~~‥‥ 伸びない分、弓の力がロスなく矢にのって‥‥
チャン!! チャッ! チャッ‥‥
そして矢は、地面を跳ね滑って行く。
そしてシヨルラさんはもう既に、二の矢を番えて引き絞っている。 そして
カンッ!!!! バチッ!!
今度の矢は狼の、お口からうなじにスコンと抜けた‥‥‥
って、いやバチッって‥‥ 弦が伸びないって事は、弓への負担もガツンと来る訳で‥‥
「‥‥あの~~‥‥‥なんか変な音しましたけど‥‥ 大丈夫ですか‥?」
‥‥‥ひょっとして‥‥ 弓、壊れたんじゃ‥‥?
「‥‥‥うん‥‥ 大丈夫‥‥‥」
シヨルラさんはすっと目線をそらし‥‥ 放った矢に向け歩みを向けつつ‥そう仰った‥‥‥
「‥‥そうですか‥‥‥」
‥‥いや、ぶっちゃけかなり不安だけど‥‥‥ まぁ‥そう言われちゃうと‥‥‥
そしてその後はつつがなく、コフランさんが二体の獲物を収納、シヨルラさんは遠くに行った矢を回収し、布で拭いながらこちらに戻って来た。
ので、水使いますかってお尋ねしたら‥もうすぐ出口だからって遠慮なされた。
それから幾許かの休憩の続きの後に、岩壁にくり貫かれた穴をくぐり、上を目指す歩みが再開された。