心の糸は、見えません
確か前世のアーチェリーじゃあ、ケブラー繊維の弦ってあったっけ。
と、言う訳でとりあえず‥‥ 自分のうなじの上辺りの毛を‥‥ちょいと束ねて引っ張って‥‥‥ その毛を、むにょ~~~~~んと伸ばす。
爪が伸ばせるくらいですもん。毛だって伸びます。
で、弓の張りの二倍半くらいに伸ばしたお毛ヶを焼き切って‥‥ 端っこを団子結びにまとめて、踏んで押さえて‥‥ もう一端を輪にして結んで指を通して、クルクルクル~っと縒り上げるっ
キッチリ縒れたら両端を石の下敷きにして、縒りがほどけない様にして‥‥
‥‥そんな感じで三本こさえ‥‥ んで、それらの団子結びの方を、またまた結んで一束ね。
で、反対の輪、三ついっぺんに指を通して、再びクルクルクル~っと、三本を一つに撚り上げて縛るっ
そして真ん中のところに、お団子結びを二っつ作って、それの間を焼き切ってっと、
ハイッ、弓弦になりそなワイヤーと、ついでに予備も完成~~ クルクル巻いてっ
「よかったら弦にしてください~」
差し出したこちらの手にシヨルラさんは、一瞬だけ逡巡を見せて‥‥ それから、おずおずとお受け取りになった。
‥‥あれっ?お躊躇い‥に? また自分、なんかやらかし‥‥
‥‥‥ハッ!!!!! そりゃ躊躇うよ!!!!!!
会ったばかりの見ず知らずの人からいきなり髪の毛なんぞ差し出されたら!!! 怖いよそりゃ!!!!!
「すいません!!ホント気持ち悪いことしちゃって!!!捨てちゃってください!!!!!」
「‥違っ‥‥!!‥あり‥‥がと‥!! 大事に‥‥する‥!!」
「いえ!使っちゃってくださ‥じゃなかった! 捨てちゃってください!!速やかに燃やしますんで!!!!」
あれっ!!? なぜか渡した弦を胸に押し懐いて、ブンブンと首をお振りになられた!!??? ‥‥ハッ!!そうか!!!
「気なんて遣わなくっていいんですよ!?? 遠慮無くほーり捨ててください!!!!」
あれ~~~!!!? なんかギュッと力がこもって、なおなお激しく首をお振りに!?? 何故!???
「‥‥ハァ~~~~~‥‥‥‥ 何でこーーーも通じ合わないんだろうかのぉ‥‥‥‥」
大きな盾の人がなんか言った気がするけど!! 今はそれどころじゃございません!!!!