流れる刃
まず、人差し指と中指をピンと揃えて伸ばし、魔法で細~く水を出して‥‥ うん、弧を描いて地面に落ちる。
それを思いっ切り高速高圧!!!!!
シュビシーーーッと! 真っ直ぐ水がぶっ飛んで行く!!!!
よし! いい感じ!!!
「な!何ですかソレ!!!」
「あっ!絶対に触んないでくださいね! 切れますんで!!」
声を飛ばしてこられたマクファーソンさんに一応注意の声をかけて、
そしてその水の切っ先を岩に!
言うなればウォータージェットカッター!!
跳ね返る水しぶきが‥‥だんだん岩の中に潜って行く!! ヨシ!! いい感じ!!
そのまま縦長の長方形に切れ目を入れ、ついでに対角線にもバッテンに。 まぁ貫通は無理だけど、ぶっ放した水が中で抵抗になっちゃうんで。
さて改めて、ジャブジャブ水を掛けてから‥‥魔法とブレスで急速冷凍!!!
‥ビシッ‥‥ミシッ!‥‥ボグッ!!!!
よ~しヒビ入った~~
「‥‥何したんですか‥一体‥‥?」
「え~~と、ホラッ、水って凍ると膨らむじゃないですか。それを応用して。」
「‥‥‥はぁ‥‥」
前世じゃコンクリートがエラいことになってたなぁ~~‥‥‥ あ、そういえば墓石も割れたっけ‥‥‥
さて‥‥流石にまだ、どうこうする程砕けてはいないので‥‥‥ 軽く発破しますか。
四隅と、バッテンの真ん中のところに、ウォータージェットでクルクルと孔を空けて‥‥‥
自分の尻尾を前まで手繰って‥ 長い毛を、なんぼか束ねてダンゴに結ぶ。ソレを五つ。
結び目を掴んで、その毛の根元を‥‥
チッ‥チチッ‥っと‥‥ 魔法で熱を生み出し焼き切って‥‥ ヨシッ、この五つがダイナマイト代わり。 魔力を込めて‥‥
「すいませーん、ボカンと爆発させますんで~~ 皆さん離れて、耳を塞いでア~って言っててくださ~い」
「ハッ!??? おぬし何を‥」
「じゃないと圧力変化で鼓膜痛めるかもしれないんで~ じゃあいきますね~~ ご~、よん、」
孔の中に、ダンゴ結びをそれぞれ放り込んで、
「さん、にー‥ ア~‥‥」
自分も逃げて、耳を塞いで喉を開いて‥‥
‥‥‥ボグォォン!!!!!
‥‥‥ヨシッ、いい塩梅‥‥じゃないかな? 亀裂がいっぱい入った。
‥‥ただ‥‥カウント数えてる間、シスターさんの悲鳴が聞こえ‥‥‥ え~~と、すみません‥‥‥
念のため皆さんを、お椀を被せたみたいに魔法障壁で覆っておいたから、身体の方は大丈夫だと思うけど‥‥
さてさて痛いのはイヤなので、脆くなっていそうなトコらに、軽いインパクトボイスを何発も飛ばして、しっかり崩して生き埋め対策。 では改めて岩の前に。
砕けたカケラを拾ってみれば‥‥‥
‥‥断面に、このダンジョンで一番硬い金属が網の目みたいに走っとる‥‥‥
と言うか岩の中の方には‥‥ゴロッとした塊まで覗いて見えてるし‥‥
この金属、カッタイわオンモイわ、おまけに熱にもメチャクチャ強いわで、さながら前世のタングステン。
だけどやたらと磁力をコントロール出来るらしい。
ので、ダンジョンの中の職人さんが、紐や鎖で繋がない動きやすい鎧やら、篭手から一定の距離で浮かび続けるファンタジーな盾やらを作ってたりする。
「‥‥おぬし‥そういう事をするなら、もっとしっかり説‥‥‥ ア‥‥‥アダ‥‥アダマント‥‥‥」
アダマント? この金属の名前かな?
「あっ、ひょっとして高いですか? これも」
「‥お‥おぉ‥‥」
「‥‥まさか三大金属すべてが揃うとは‥‥‥」
あら、そんなにありがたがられてるんだ、コレ。
こちらの手元を見たコフランさんが、ポソリと一つ呟いた。