表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/85

そして認識はひたすらにズレる

「‥‥コレ‥‥」


「なる程フォックスリーフですか。確かに金目の物ですね」


 シヨルラさんが細くてかなり長めの葉っぱを拾い上げ、コフランさんがそれを値踏みしてくださった。でも‥‥


「あの‥‥それ食べたら酷い目に遭いますよ?」


 ‥やべぇもんまで切っちゃってたなぁ‥‥ まぁ、タウロスさんに渡す前に選別はするんだけどね。

 ちなみに食べると‥嘔吐、痙攣、etc。こちらの世界の曼珠沙華。



「いえ‥‥塗り薬にするんです‥‥」



 ‥‥あっ、なる程‥食っちゃいかんかったのね‥‥‥



「あっ、これは?」

 良い物みっけ。小さな青ジソみたいな葉っぱを付けた一本を手に、ちょいとお訪ね。



「‥‥ブリザードスカディ‥‥‥ 氷冷薬の材料です‥‥‥」


 ‥‥スカディ‥? 前世でもそんな名前の女神様があった様な‥‥ おんなじ様な御柱がいらっしゃるのかな?


「‥それを喰うのもおぬしだけだろ‥‥‥」


「いえ、これは結構皆さんに人気ですよ~ ミントみたいですから」


「‥ミ‥ミントとな‥‥」


「へぇ~そうなんですか」

「あっ!ちょっ!!」


 コフランさんの止めるのも聞かず、マクファーソンさんはしれっと口に‥‥ やっぱりぶっ飛んでるなぁ~‥‥‥



「‥‥なる程確かにミントですね」


「‥え~と‥大丈夫ですか‥‥?」

 ‥‥ひょっとしたら、人間には毒かもしれないし‥‥と思ってたら!シヨルラさんまで!!!


「‥‥うん‥‥‥強い‥‥ミント‥‥」


「ですよね、疲れた体にスッキリしますよね」


 そう仰るお二人のお腹に、念の為メディカルチェックの魔法を飛ばして‥‥‥ 良かったぁ~~~‥人の体にも毒性は無かったぁ‥‥‥



 さて、これは燻煙材にプラス。

 ドンブリ蜂にはすこぶる効くけど、こちらにとっちゃ甚だ良い香り。

 ではでは蔓をちょん切って‥‥



「ところでキラーバインってどんな味なんですか?」


 不意にマクファーソンさんが話し掛けてきた。


「‥‥キラーバイン‥‥とは?」


「そのボスですよ」



 ‥‥あっなる程、この美味しい蔓、そう言う名前なのね‥‥



「そーですね~ 枝蔓の先とか葉っぱはツルムラサキみたいで‥‥」


「‥ツルムラサキ‥って‥?」


 ‥‥あ‥無いか‥この世界には‥‥


「‥前世の美味しい野菜です。まぁあんまりメジャーなものじゃなかったですけど」


「‥あ‥そうなんですか」


「アスパラってこっちにもあります?」


「はい、アスパラは」


「そうなんですねぇ。枝蔓の太いところの中側はアスパラっぽくって、外側はメンマ、皮は固いけど良い出汁が出て、コンソメなんかに使うと美味しくて」


「‥すいません‥‥メンマって‥?」



 ‥‥メンマ‥‥‥ え~~~と‥‥どうやって説明したもんかな‥‥‥


「‥‥コリコリ食感のニクい奴です‥‥」


「‥‥‥よく解りませんが、お好きなことは伝わりました」


 ‥コフランさんが会話の助け船を出してくれた。



「‥‥あっはい、良かったです‥‥ で、茎蔓の中側は、大根とチンゲン菜の軸を合わせたみたいな感じで、外側はタケノコ、あと根はサツマイモみたいにホッコリ甘いですよ~」


「チンゲン菜とタケノコはどんなものなんですか?」


「チンゲン菜は‥‥‥まぁ美味しい葉野菜です。タケノコは‥‥‥ すいません、そちらに竹って生えてますか?」


「う~ん、少なくとも僕は知りませんね」


「そうですかぁ~‥ え~っと、竹という木の生えたてのやつで‥‥コリコリ食感のニクい奴です‥」


「好きなんですね、コリコリ食感」


「はい~そうなんですよ~ あと‥」



 枝蔓をぐいっとしごいて、分泌していた液をしごき取り、それをペロリと舐め、


「コレがまたライムみたいな香りで、ほんのり酸っぱくて美味しいんですよ~」


「‥‥おぬし‥‥それ消化液だぞ‥‥」


「いやまぁ、そうなんですけどね。」

 消化液ったって、そんなに酸度は強くない。何時間も触れてなきゃ問題ないので、ドレッシングなんかに使っております。

 ‥‥と、不意にしごき取った手に撫でられる様な感触が。視線を振ると、シヨルラさんが指先を口に‥‥


「‥‥うん‥‥ほんと‥‥ライムの香り‥‥」


「へぇ~確かに美味しいですねぇ」

 マクファーソンさんは蔓をダイレクトに指先で撫で、チュッと味見をしていた。


 ‥‥そんな不用意に口にしないでくださいよ~‥‥‥ もう一回メディカルチェックの魔法を飛ばして‥‥ 良かった‥‥コレも大丈夫だった‥‥




「おい!!後ろ!!!」


 唐突に、高そうな鎧の人の声が響いた。振り返ると‥‥あ、ドンブリ蜂が、自分の顔目がけて飛んでくる。きっと遠くに行ってた働き蜂が帰って来たんだろうなぁ。

 爪でも伸ばして、チョップで叩き落とそうかと考えていると‥‥‥ しゃがみ込んでいた腿に、一つ衝撃が走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ