人肌くらいの温もり
「‥‥すいませんミノネーさん、またちょっと隠れさせて下さい‥‥」
「あら~いらっしゃ~い。」
ここはタウロスの皆さんの縄張り。
このダンジョンはある程度の深さから幾つか分岐していて、それぞれの先を違うモンスターの方々が縄張りにしている。
タウロスの皆さんは牛の頭の巨人さんで、見た目と裏腹にとっても温和。生まれ変わるならこっちが良かったなぁ‥‥
たま~に闘牛みたいに荒っぽい人もいるけど‥‥
なかなか可哀想な境遇で、牛の頭だけあって基本は草食。
多少はお肉も食べられるけど、そっちばっかりだとすぐ病気になるらしい。
なので光のある浅い層まで、よく植物を求めに行っている‥‥深い層には多少のキノコくらいしか無いので‥‥
浅い所で住まないのって思いそうだけど、そこはダンジョン。そうは問屋が卸さない。
特定の所以外は、ダンジョンが勝手に姿を変える性質が。なので家とか建てても、潰されたり壊されたり神隠しの様に消えたり‥‥自分もあったなぁ‥後で食べようと思ってた弁当が消えてたときの侘しさと言ったら‥‥
ミノネーさんは以前逃げてへたばっていたときに拾ってくれて、それ以来、迷惑とは思いつつご厄介になっている。
「あれ?モルネスさんは?」
「あ~あの人はね~~。ほらぁ、この間ケルベロスの群れ~、一緒に退治してくれたじゃない?その時に逃げてたのがぁ一匹うろうろしてるらしくって~、男の人み~んな斧持って出かけちゃったの~」
「あっそうなんですか?じゃあ僕もお手伝いに行った方が‥‥」
「ありがと~でも大丈夫よ~~」
そう言ってコロコロ笑うミノネーさん。
まっ、そりゃそっか。タウロスの皆さん強いもん。たかだかケルベロス一匹じゃ話しにもならんか。
因みにモルネスさんはミノネーさんのダンナさん。お二人の間には赤ちゃんも産まれている。今は静かだから寝てるのかな?
「それで~ギルゴーグ様、相変わらずなのぉ?」
「‥はい‥‥」
「大変ねぇ~‥‥ガーネット様、止めてくれればいいのにね~‥‥」
「母は父と同意見ですから‥‥」
ギルゴーグとガーネットは、今世の父と母の名前。
「‥‥‥あ~そうだ~~。ちょっと待ってて~」
そう言って一旦外したミノネーさんが戻って来ると、その手には岩をくり抜いたお椀が。
「どうぞ~ミルク~。搾りたて~~」
‥‥搾りたて‥‥思わず視線がたわわな‥‥いかんいかん失礼だ。
「飲んで~」
ほがらかな笑顔で、両手で差し出すミノネーさん。
ちょっぴりおずおず受け取り、唇に触れると‥‥あ‥‥人肌‥‥




