無意識の欲深
‥‥どうにか丁重にお断りした後‥
こちらはまたまた鎌を取り出し、ドングリでも生りそうな、硬めの木の細いのをぶった切った。
柳みたいなやつじゃあ流石に、燻す為の草っ葉くくって扱うにはしなり過ぎるんで‥‥
んで、背負い籠を降ろし、さっき丸めた美味しい蔓の、階層ボスを引っこ抜いた。相変わらず元気に藪っきれを締め上げとる。
その下に詰めてた、タウロスさん達へのお持たせ‥‥ うん、これで燻そ。
手土産は帰りに刈っていこ。そっちの方が新鮮だし。
縛るのは‥‥まぁいいや、コイツを使お。
美味しい蔓の階層ボスの、枝蔓を一本、鎌で‥‥
「あの、ちょっと‥‥」
お? コフランさんが声をかけてきた。
「いいのですか?」
‥‥‥ん?? いいのですか‥‥とは‥どういう‥‥‥ は!!
「すみません!!皆さんと共有の戦果ですよね!!勝手に傷物にしようとしちゃって!!!」
曲がり形にもダンジョンボス!! そんなの身勝手に扱われりゃあ、そりゃ面白くないですよね!!!
「いえ違います‥‥真反対です‥」
「それ‥は‥‥ギネッタ‥‥さん‥一人で‥‥抜いた‥‥‥。 だから‥‥‥ ギネッタ‥‥‥さん‥‥だけの‥‥獲物‥‥‥」
「おぬしよ‥‥儂らはそいつの対処に、一切関わっておらなんだ‥‥」
「そうです。ですから私たちの立場でも、獲物全ての権利を主張しても、何ら不思議はないのですよ。ただ‥‥その様に安易に扱うのは勿体ないと申しましょうか‥‥」
‥‥‥なんかコフランさんとシヨルラさん、それに大きな盾の人にまで気遣っていただいちゃった様な‥‥
それはまぁありがたいんだけど‥‥
「すいません‥‥」
流石にマルっと一体は浅ましい気が‥‥
「‥‥とりあえず今の所は、枝蔓一本だけ拝借してもよろしいでしょうか?」
「‥‥ベヒーモスが‥‥」
高そうな鎧の人が、なんかポソリとおっしゃった。