赤に染まって
「‥な‥‥」
「‥‥こ‥こりゃ‥‥」
温かな返り血が肘まで伝う‥‥ それをじっと見つめ‥‥そして尋ねた‥‥‥‥
「すいません、もう一回水浴びしてきていいですか?」
乾いてカピカピになる前に
「‥何ですかさっきの障壁!!? あんなの初めて見ましたよ!!!」
ぅわぉ、マクファーソンさんが凄い感じで尋ねてきた。なるほど、この方は好奇心の人なんだな~‥‥
「あ‥あはは、そ~ですか??」
「ちょっともう一回!!もう一回やってもらってもいいですか!!!」
まさかそこまでご好評いただいてるとは‥‥
「え‥えぇ、いいんですけど‥‥ 先に水浴びさせてもらっても‥‥?」
「いやその前にもう一回!!」
「おぬし少しは自重せい‥‥ ほれ、いくぞ」
「じゃあ私も
「‥さっきの危険を繰り返すつもりかおぬしは」
「いや、でも‥‥」
「おぬしは残れ。いいな」
しれっと付いて来ようとしたマクファーソンさんに、まったが掛かった。まぁそりゃそうか。
あっ、でも‥‥
「あっ、やっぱりちょっと待ってください。シヨルラさん、お先にどうぞ」
こちらのやり取りもどこ吹く風と、イノシシの首から矢を引き抜いたシヨルラさんの手が、血に濡れているのが見えた。その手で拭ったのか、顔がかっこいいことになっていらっしゃる。
ついでに落とし穴の時の自分の‥‥ベヒーモスの血が‥‥拭き残ってたのがカピカピに貼り付いていて‥‥
さっきも、お先に水場に行ってもらおうかな~~とも過ったけど‥‥ 何しろ自分のスメハラが怖くって!
「‥‥ぅうん‥‥‥いい‥‥」
‥ん? 首を振って、そうおっしゃった
「いえいえ遠慮なくどうぞど~ぞお先に!!」
「‥‥ううん‥‥大丈夫‥‥」
‥あれ??
「まぁまぁ。水なら私、出せますから、どうぞお早く水浴びしてきてください」
‥‥おっと? マクファーソンさんが思いがけないことをおっしゃった
「‥魔法で水って出せるんですか?」
「?、出せますよ? ほら」
わぁ‥下にした掌からジャバジャバと‥‥
ちょっとやってみよ‥‥ おぉ~~ホントに出来たぁ~。
水なんてそこら中にあるし、わざわざ魔法で出そうなんて発想が無かったなぁ~~
「‥凄いですね、すぐ出来るなんて‥‥」
お次は目の前に水の塊を生み出すイメージで‥‥ おぉ~バシャッと落ちたぁ~
「‥アハハ‥覚えが早くてらっしゃる‥‥」
じゃあ次は指先から水鉄砲みたいに‥‥ おぉ~~すげぇ~~!!
「‥‥ホレ、はしゃいでないでさっさといくぞぃ」
「‥‥! 待って! 背中‥‥血!」
「え!??」
あ~~さっきのミニバンイノシシの体当たりかな? なかなか骨のあるヤツだったんだなぁ~。でも広く打ち身みたいになって満遍なく痛いから、どこが怪我してるやら‥‥
「まぁ大丈夫ですよ。怪我なんていつもの事だし」
主に父親のせいで
「いや病気になったらどうするんですか!シスター!!」
‥‥んな大袈裟な‥ って何でまたシスターさんに!!
「いやいやホント大丈夫ですから!!!」
もぉほら~~! 振り向くとシスターさんカチカチ歯を鳴らしてらっしゃる!!! 可哀想ったりゃありゃしない!!!!
‥‥と思ってたんだけど‥‥ 不意に背中がホワッとあったかくなって‥‥ そのまま痛みが引いてっちゃった‥‥
‥‥なんかシスターさん‥‥ 頑張ってこちらの怪我を直してくれたっぽい‥‥
「‥すみません、ご無理かけちゃって」
そうお礼を述べるとシスターさんが‥‥声も上げずに静かに泣いた‥
うわ!と~と~泣かれちゃった!! ごめんなさ~~い!!!!
次話は、シスターさんの心模様です。