爪先にはぬくもり
‥‥今まで自分は、積極的な方ではないと思っていた。でも、違ったらしい‥‥
気づいたときには走っていた、全力で
まさか自分が‥こんなに思い切りよく動けるなんて‥‥‥
って、まぁ反射で動いてただけか‥‥
そして視界の端にそれを捉えた‥‥
イノシシとご自身の間にいたシヨルラさんをさけたコフランさんと、そしてマクファーソンさんが‥‥‥ 突っ込んでくるイノシシに向けた手を‥慌てて引っ込めるのを！！！
すみませ～～～ん！！！！ ゼッタイ邪魔しちゃいましたよね！！！ 自分のバカ～～～～！！！！！
って！嘆いていても何にもならん！！ あのイノシシ絶対止めにゃあ！！！
幸い眉間に受けた矢のせいで突進の勢いは数瞬鈍った！ これなら多分余裕で‥‥ ‥間に合った！！ 横っ面に掌底をズドン！！ 思いっ切り突き飛ばす！！！！
大成功！！見事に吹っ飛んだ！！！ でもそっちばっかに構ってもいられない！！
後ろの方、ファイヤーブレスが落ち着いた辺りからデッカイのが突っ込んでくる！ 多分ミニバンイノシシ！！！
振り返る余裕が無いので斜め後ろにステップ切って進路に割り込み‥‥背中で受け止める！！ ぎっくり腰が怖いけど！！
ズドンという衝撃。流石にスピードが乗ってるだけあってなかなか‥ズザザと足が滑った。が‥‥ よし！止めきった！！
「んだらぁっ！！！」
体を捻りつつ肘鉄一閃！！！
見えてないからクリーンヒットはしなかったけど、まあまあの手応え。
少しよろめいてから、また突っ込んで来た！ ‥けどそんな短い助走じゃ、さして怖くもなく。
「ホッ！」
軽いインパクトボイスを当て牽制しつつ、シャン！っと片手の爪を伸ばし‥‥体を傾け落とし‥斜め下から首筋に爪先をズンッと打ち込む！！！
ミニバンイノシシはもがき暴れた。少しの間だけ‥‥
‥‥ビギュウ‥と一つ声が漏れ‥‥
引き抜く手には、体温を湛えた返り血がバシュリと噴き‥‥ その巨体はドウと倒れた‥‥
さっき突き飛ばしたヤツは、シヨルラさんが首に矢を打ち込み、トドメを刺していた。
見回せば、他は蜘蛛の子を散らす様に逃げ、最初のピクピクさせた一頭が残るのみ‥‥ こうして自分達？ はイノシシ共に勝利した。
