世界は広く、価値はフワフワ
革で出来た、たすき掛けにしてた肩掛け鞄から、ヒョイと掴み出した石くれで‥‥なんかやおら、空気が変わった。
‥‥ちょっとしたお返しのつもりだったのに、まさかそんなファンタジーな名前の金属鉱石とは‥‥
「‥ゴ‥ゴロゴロあってたまるか!そんな希少なものが!!」
「‥いや、そんなこと言われたって‥‥‥あっ‥え~と‥‥シヨルラさん‥‥どうぞ遠慮なさらず貰ってください」
「‥あ‥‥でも‥‥‥」
「いやホント~にゴロゴロあるんで気にしないでください。この程度なら、こっちじゃおんなじ重さの岩塩の方が高いですし‥‥」
「‥‥‥‥」
「‥‥あの~~‥ひょっとしてご迷惑でしたか?‥‥」
「‥‥迷惑じゃ‥‥ない‥‥でも‥‥お礼‥‥‥」
「おぬしら、何をむずがゆい会話をしとる‥‥」
「‥‥じゃあ‥‥外で‥コレを売って‥塩‥いっぱい買って来る‥‥」
「あっそれなら、よかったら外に案内してもらってもいいですか?運んでもらうのもわるいんで」
「バッ!馬鹿なことを言うな!!ベヒーモスをダンジョンの外へなんか出せる訳ないだろう!!!」
‥‥ん?
「‥‥大丈夫‥‥多分‥‥」
「‥‥いや‥‥ダンジョンの出口前で待っててもらう手も‥‥」
今まで庇ってくれてたシヨルラさんと、灰色のマントの‥‥いや、よく見たら衣服とつながってるからマントじゃないか、あれ。あっそうだ、名乗ってくれたっけ。コフランさんだった。
そのお二人の口が、ちょっと重くなった。
思ったよりもナイーヴな話だったのかな?これ‥‥
‥なんて思っているさなか‥‥
「いいんじゃないですか?連れ出しても」
ミステリアスさんが、会話の空気を劈いた