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プロローグ
初とーこーっす
それは瓦礫の黒と炎の赤に埋もれていた。
ゆらゆらと生き物のように捲き上る黒煙、チラチラと死者を嘲るかのように舞い踊る火の粉たち。
それはまさに地獄絵図であった。
その中に遠目に見てもおかしいところがある。
否、おかしいものがある、といったほうが良いか。
白い もふもふした何か だ。
黒と赤の世界にひときわ目立つ「それ」はゆらりと立ち上がり虚ろな目でこちらを見た。
「こんなとこで何やってんだお前」
俺は白いヤツに声をかける。
髪の毛はボウボウにはえていて目元が見えにくい。こどものため、男女の判断もつけがたい。
「お父さんやお母さんは?」
「......」
「言葉わかる…?」
こくりと少女は頷く。
ぼちぼち進めるね