4章-11 決意
ライチはその場を後にし、ライチの仲間たちも姿を消した。
しかし、建物はもう使い物にならない状況だった。
何とか中から出てきたエンテとナオヤ。
ナオヤはライチから受けた打撃で足を引きずってはいたが、無事だった。
パギー「ナオヤ!大丈夫だった!?」
ナオヤ「おれは大丈夫だよ」
レック「建物はもうぐちゃぐちゃだな…」
エンテ「ナオヤさん…」
ナオヤ「わがまま、聞いてもらっていいかな」
エンテ「はい」
ナオヤ「劇、見たいんだ」
エンテ「わかりました」
舞台もない。化粧もない。小道具もない。
それでも、エンテさんは演じた。
それは、プロの演劇者だった。
ナオヤはそれを見て自然に笑っていた。
でも、わたし(サヤ)には、
とても、とても悲しく感じられた。
アヌビス「エンテさん、これからどうするんですか」
エンテ「劇場が燃えても、劇はできます。
私は、それで生きていきます」
つらい道だろうけど。エンテさんは前を向いていた。
エンテ「私の劇を信じてくれる人がいる限り」
そう言ってエンテさんはナオヤの方を向いた。
ナオヤ「俺たちは行かなきゃならないけど、
また、必ず見に来ます。待っててくださいね」
エンテ「ありがとう」




