4章-10 争わないで
中は戦場と化していた。
そんな中、エンテさんの姿を見つける。
エンテさんは、赤い髪の恐ろしい女と対峙していた。
ライチ「あんたみたいななれ合いの下でしか生きられない集団のせいで、
この町の芸術はゴミと呼んでいいレベルにまでなり下がったのよ」
エンテ「私の演劇はゴミなんかじゃない!」
ライチ「笑わせないで」
ライチがその手をエンテに向ける!
が、とっさの所で最低が間に割り込み、エンテをかばった。
「最低さん!」
ライチ「あんたが、最低?」
ナオヤ「なぁ、ライチさんとやら」
ライチ「最低が聞いて呆れるわね、女の人をかばってかっこいいとでも思ってるの?」
ナオヤ「こんな非生産的な行為、やめにしてくれない?」
ライチ「汚らわしいから話しかけないでくれる」
ナオヤ「やめろと言っている」
ライチ「あなたは町の人間でもないわよね。そもそも最低と呼ばれている人間が
なんでそんなきれいごとをつぶやくの?」
ナオヤ「おれは演劇が見たいんだよ。ただそれだけだ」
エンテ「…!!」
ライチ「この女の顔を二度と舞台に上がれないようにボロボロにしてやるの。
邪魔だから消えて」
ライチはエンテめがけて拳を振り下ろそうとする。
だが、ライチの攻撃は、すべて最低が受け止めた。
エンテ「やめて!」
ナオヤ「なぁ、おれはただ演劇みたいだけなんだよ。
お願いだから、帰ってくれよ」
ライチ「情けない」
エンテ(それほどまでに、この人は私の劇を…?)
ライチ「じゃあまず私の靴をなめてみなさい。
そうしたら考えてあげてもいいわ」
ナオヤ「おーけい」
本気の目。最低も本気の目で返す。
エンテ「やめなさい!」
思わず、エンテがライチに向けて殴りかかろうとした。
が、そのビンタはまたも間に入った最低の頬に当たった。
エンテ・ライチ「!?」
エンテ「なんで…」
ナオヤ「違うんだよ!
そうじゃないんだよ!言ってるだろ!
おれ、ただ演劇見たいだけなんだよ!」
エンテ「!!」
エンテは膝からその場に崩れ落ちる。
エンテ「ごめん、なさい…」
ナオヤ「謝ってほしいんじゃないんだ。演劇がみたいんだ」
ライチ「…な」
ライチは何度も首を振る。
ライチ「ああ、気分悪くなってきたわ、
引き上げるわよ!」




