4章-02 入口
サヤ「ねえ、思ったんだけどさ。
楽器八つ集めて、八人で演奏する、ってまるでバンドみたいだね」
レック「そうだな」
ナオヤ「八人ってちょっと多すぎねえか?音合わせるのとか大変そうだ」
アヌビス「…バンドの話はするな」
サヤ「…へ?」
アヌビス「…バンドは、嫌いなんだ」
パギー「どうして?」
アヌビス「…どうだっていいだろ、そんなこと」
アヌビスはばつの悪そうな顔をして、そっぽを向いた。
パギー「…ふーん…」
サヤ「…何があるんだろ」
ナオヤ「ほっとけ」
数時間ほど歩いて、ついに目的地に着いた。
あたり一面が高くて黒い壁に覆われており、その壁の真ん中あたりにゲートが備え付けられていた。
ゲート以外に中に入れそうな隙間はない。
…要するに、そのゲートが、ただ一つの出入り口ということだ。
そのゲートの所には、柄の悪そうな兄ちゃんが二人、銃を脇に構えて立っていた。
アヌビス「着いたぞ。…この中がシアノヒルズだ」
サヤ「…入れるの?私たち」
アヌビス「ああ、この村は基本的に来る者拒まず、去る者追わずのスタンスなのさ」
サヤ「…ほんと?」
アヌビス「今に分かるさ。おーい、ヘナフスにジェームズ!アヌビスが帰ってきたぞ!」
ヘナフスとジェームズとは、この門番たちの名前だろう。名前を呼ばれた男は、ゆっくりとこちらを向いた。
ヘナフス「…アヌビスか。…そっちの連中は何だ?」
アヌビス「連れだ、連れ」
ジェームズ「…連れ…ねえ」
アヌビス「いいから中に入れさせろ。俺は久しぶりに戻ってきてわくわくしてるんだからな」
ジェームズ「…アヌビス、ダミー氏が亡命したのは聞いているか?」
アヌビス「…ダミー氏が!?…そうか、ついにあの人まで居なくなっちまったか…」
サヤ「…ダミー氏?」
アヌビス「…ダミーさんは素晴らしい人物でな…ってそんなことを言っている場合じゃない。…とにかく入らせてもらうぞ。ほら、入れ」
サヤ「…いいんですか?」
ヘナフス「ああ、俺たちは見張りをしているだけで他の者が町に入るのを妨害する権利はねえ」
アヌビス「さあ、入った入った!」
ジェームズ「はい、これがこの町の地図です」
そう言って地図を渡される。一見した印象ではそこまで広くはなさそうな町だった。




