3章-17 決着
それからは、まさに、根気との戦いだった。
最初は面白がっていた観客も次第に疲れ、姿を消したかと思えば、
睡眠、食事などをとって、またちらっと戻ってきたり。
3時間が経ち、5時間が経ち。
二人とも、両方ふらふらで、
お互いに、執念だけでずっと立ち続けていた。
見栄えとしてはけして面白いものではなかったが。
「見てる人に失礼とか言う考えはないのか!!
この大馬鹿野郎!」
「悪いけど勝負だからそんなこと言ってられない」
くだらない罵りあいも2時間が山で、あとはどちらも黙ったまま。
サヤ(ふぁぁ。見てるだけでも疲れてきた)
アヌビス(悪いけど、馬鹿じゃないか、こいつら、
マジで終わる気がしないぞ)
そうして、10時間たったころ。
「ま、そろそろおれギブアップしようかな」
「…は?」
「そういうわけだ。残念だがおれの負けだ。ではおやすみ」
そういって、最低は自ら眠りに着いた。気持ちよさそうに。
「はぁ!?
てめぇから言っておいて、途中でギブアップだと!?
限界まで戦うんじゃなかったのかこのヤロウ!聞け!」
しかし、もうナオヤは目覚めないぐらい熟睡していた。
「…。
見たか愚民ども!
やはり勝者はいつもこのディアス様なのだ!
今回はなかなか強かったが、今後も俺の連勝街道は続くだろう!
せいぜい見届けてくれたまえ!ははははは!解散!」
そう言って、ディアスも倒れた。
…。
勝者、ディアス!!
アヌビス「…なんだったんだ」
レック「…でも、今まで一番どちらが勝つのか分からない展開だった」
アヌビス「途中でギブアップかよ…」
レック「あるいは、最後まで本気でやっていたら、わからなかったかもな」
アヌビス「…途中で投げ出して、一番腹立ってるのは、ディアスだろうな…」
レック「これが、あいつなりの勝ち方なのかもしれないな」
アヌビス「はぁ」
深くため息をついて、アヌビスは、ナオヤの元へと向かった。




