3章-14 延長戦
「……
ぷぷぷぷぷ。
ひゃーッはっハッはっはっはっはっは!!!!!!
おまえみたいな素人のもやし野郎が
おれに勝てるとでも思ってるの?????
頭大丈夫????大丈夫なわけないか!!」
「お前が言ったんじゃないか。
『おれは誰の挑戦でも受ける』とか、
『悔しかったら這い上がって来てみろ』とか」
「おれ手加減できないよ????ごめんね!!!
ぐちゃぐちゃのけっちょんけちょんにしちゃうよ??
今のうちに帰ったほうが身のためじゃない??おチビちゃん?」
「やってみないとわからないよ。
おまえが口だけかもしれないじゃないか。
ごちゃごちゃ言ってないで、さっさとやろうぜ」
「面白い!」
ディアスが間合いに一歩踏み込む。
それと同時に最低も一歩下がる。
「どうした、攻めて来いよ」
(相手が動いたそのスキがチャンス。
俺は、相手がどの動きをしたときにどこの筋肉が動かせないか、
長年の経験から、すべて知り尽くしている。
相手が一つスキを作ったが最後、反撃する間を与えずに倒す。
それが俺のやり方だ)
その経験は、何十年とひたすら戦いのみに身を置いてきたディアスだからこそ、
なせる技であった。
が、最低は一つも動かない。
「ふん、ならこっちから行かせてもらう」
足掛け、ジャブ、ストレート!
一瞬のうちに3発入り、ナオヤは後ろに吹き飛んだ。
「最低!」
「いやっ!」
「言わんこっちゃねえ…」
が、ナオヤはすぐに立ち上がる。
「ほう、ガキ、なかなかしぶといな」
「おれさ、小さいころから殴られたりとかしすぎてて、
痛いっていう感覚がマヒしてるんだよ。
だから、全然平気なわけ」
右手はプラプラしている。関節が折れているかもしれない。
「ちょっと、ちょっと、君、ドクターストップだよ」
審判が間に入ろうとする。
「いいや、まだやれるね。引っ込んでてくれ」
が、ナオヤの方がそれを制する。
「こいつがそう言っている以上貴様にでしゃばる権利はない!
この豚審判!!」
ディアスも叫ぶ。
結局押し切られ、審判は下がっていく。
そうして、試合はまだ続こうとしていた…。




