3章-11 正義③-多数決
パギー「正しい、って何だろう…」
サヤ「もう、いいってば」
パギー「でも、少なくともたくさんの人が正しい、っていったものは、正しいと思うんだ」
ちょっとイラッとして最低がつぶやく。
ナオヤ「なぁ、パギー。
おまえにとって正しいものは、たくさんの人が正しいと言わないとダメなものなのか?」
パギー「え…うん」
ナオヤ「そんなに他人と同じじゃないと安心できないのかおまえは。
よっぽど自信がないんだな」
パギー「そ、それは」
アヌビス「そんな言い方ないだろ」
ナオヤ「おまえだって盗賊のくせに他人の意見ばっかに左右されやがって」
パギー「わたし、思ったこと口にしていいかな」
ナオヤ「いちいち尋ねる必要がどこにある」
パギー「なんでさっきからいちいち突っかかって来るの!?
正直、イライラするんだけど!」
サヤは少し驚いた顔をする。
ナオヤ「ごめん」
ナオヤはちょっと笑う。
パギーはバツが悪そうな顔をする。
ナオヤ「でも、それでいいんだよ」
ナオヤが後ろを向く。
ナオヤ「俺といるときぐらいは言いたいこと素直に言ってほしいんだよ。
おれ、最低だからそういうの気にしないし」
パギー「…それで、わざと?」
ナオヤ「正しいことしかできない、ってことは、
他人に合わせて生きていくしかないってことだぞ。
そんなの、つまんなくね?」
パギー「…」
ちょっと涙目になっているパギーを見て、ナオヤも視線を外しつぶやく。
ナオヤ「まぁ、誰がいいと言おうが、悪いと言おうが、
おまえにとっていいものはおまえにとっていいものなんだよ」
どこかのだれかの構文みたいだが、言い方を変える気はない。
ナオヤ「おまえほんとのことが知りたいんだろ?
だったら、たくさんの人がいいと言ってる、とか、誰もいいと言ってない、とか、
そんなくだらない色眼鏡はずして物事見ろ。それでいい悪いを感じろ」
パギー「…」
ナオヤ「そうすれば、ちょっとずつわかってくるよ。
お前の言ってた、生き方ってのも」




