3章-06 謝罪
下に行くと、エゼルさん含む数名が話し合いをしていた。
「我々がこうまでして説得しているのに、なぜ、町議会は謝罪をしないのだ!?」
「結論から言うと、あほの国民が全く問題に関心を持たないからです。
国民の声がないと、町議会は動かせません」
「エゼルさんの悲惨さをもっとアピールしましょう。
そうすれば正義感から国民も立ち上がるはずです」
「しかし諦めてしまっている国民もたくさんいるからなぁ」
エゼル「私の力不足で、申し訳ありません」
「エゼルさんが悪いのではないのです。国民が政治に無関心なのが悪いんです!」
ナオヤ「…あほだなあ…としか、言いようがない」
サヤ「最低!?」
ナオヤ「すまん。ちょっと行ってくる」
サヤは止めようとしたが、ナオヤは振りきぅて行ってしまった。
ナオヤ「悪いのは国民じゃないよ。あんたら自身の考え方だよ」
「…なんだと!?」
「このガキ、いきなり何を偉そうに」
ナオヤ「率直な感想だよ。
考えてもみろよ。
…無理やり『謝罪しろ!』と押しつけられてだれが謝罪するかっての」
「…だったらどうやって謝罪させればいいというんだ!」
ナオヤ「…まずはその『謝罪をさせる』って考えからどうにかしろ。
『謝らせる』んじゃなくて、『謝っても仕方ないかな』って気持ちにさせるの。わかる?」
「…簡単に言うじゃないか。それができれば誰も苦労はしないんだよ!」
「そうだそうだ!偉そうなことをぬかすなこのガキ!
まだこの運動に参加して、1日2日しかたっていないくせに!」
ナオヤ「できるよ。ちょっとばかし時間と、あとセンスがいるかも知れねえけど、絶対できる」
「…口だけめ。実際にやってみろよ」
ナオヤ「…残念ながらおれにはそこまでこの運動を本気でやる義務はない。
ドラムさえ手に入れば、それでいいんだから」
「ほらやらないじゃないか!口だけが!」
「第一実際のプランはどうすんだよ!
さっきからお前それにはちっとも触れてねえじゃねえか!」
ナオヤ「プランなんかどれだけたてたってできないものはできないよ」
最低はそういいながらも立ち上がり、ホワイトボードに向かう。
ナオヤ「まあいいや、そこまで言うならちょっと考えてみようか、そうだね」
ナオヤ「そうだな、お祭りでもやろうぜ」
誰も同意しない。知ったことなしに最低は続ける。
ナオヤ「テーマソングとか作ろうぜ、みんなで」
サヤ「…テーマソングって」
後ろの方でこっそり最低がつぶやく。
ナオヤ「もっとバカ騒ぎしなきゃみんな寄り付かないよ。
訴訟だの謝罪だの責任だの。
そんな真面目なことばかり言ってるから君たちは
一般市民からも煙たがられてるんだよ」
最低はそう言った。
「…違うね。そんなバカ騒ぎをしたって無駄なんだよ!
奴らの中には我々を嫌っていて名前を聞いただけで徹底的に排除をしてくる連中もいる。
そもそも話し合う気がない相手には何をしても仕方がないんだよ!
強引に制度を設けて、それで押す以外に方法は無い!」
ナオヤ「…嫌われていようが別に問題はない。
むしろ嫌われている方がかえってやりやすいケースだってある。
そのあたりはやり方次第だ」
最低は表情を変えずに続ける。
ナオヤ「さらに言うなら、
嫌われているのは団体そのものじゃないな。…『きもちわるい』団体だ。
なぜあんたらが『きもちわるい』か、
それはあんたら自身がそもそも話し合う気が全くないからだ」
「何を知ったように、偉そうに!」
「あんたらを見てれば、それぐらい分かる」
「何なんだ、このガキ」
「お前の言うようなことをしても、馬鹿にされるだけだ!」
ナオヤ「…一言だけ言っておこう。
バカにされることを躊躇するぐらいなら、
初めから被害者救済だのなんだのぬかすんじゃねえ。
見損なった」
「…だいたい、そんなもので本当に人が集まると思ってるのか?
向こうが謝罪する気持ちになるとでも思うのか?」
ナオヤ「…聞くが、あんたらは、それをやったことがあるのかい?」
「やらなくたってわかるね。
そんなもので人が集まるわけないだろ!」
ナオヤ「やってみたこともないのに集まらないって決め付けてるの?
口だけはどっちなんだよ!」




