3章-02 格差
-ローウオーの町-
サヤ「へー…こんなところまで来たの初めて…」
ナオヤ「ここは随分と発展してるな」
アヌビス「…ああ、ここは競争社会だ。だから発展する物はとことんまでに発展する。
…だが、その代わりに格差が激しい」
高層ビルのすぐそばで、大量の浮浪者が俺たちに視線を注ぐ。
サヤ「…そういえば、やけに浮浪者が多いみたい…」
ナオヤ「あんまり見てて気持ちのいいものではないな」
サヤ「…うん」
パギー「……最低、
どうしよう」
ぼそっとパギーが呟いた。
ナオヤ「何をどうしろと?」
パギー「この現状だよ。
どうすればいいと思う?」
ホームレスの方を見ながら、パギーがナオヤに問いかける。
ナオヤ「どうすればと言われても」
パギー「ナオヤなら何とかできないかな、って」
ナオヤ「おれがどうこうできるわけないだろ。
好き好んでこんな町に来たんだ。仕方ないだろ」
この町には、人生の一発逆転を求めて勝負に来る輩が多いと聞く。
その大半は敗れ去り、こうして浮浪者生活か首つりと相場は決まっているらしかった。
アヌビス「しかし、これは異常だよな。
これだけの富が一部に集中し、これだけの敗者が出る」
サヤ「お金ってのは一部に集中するものなの、
性質的に」
何かの経済の本に、そう書いてあった気がする。
資本論、だっけ?
たしか思想的に、もう使い古された本だが。
ナオヤ「なにを偉そうに」
サヤ「最低にだけは言われたくない」
お金のことなら、わたしの専門だ。




