2章-19 決着
?「残念ながらここには監視カメラがつけてある。いつ何時誰が忍び込んでくるかわからないからな」
パロール「…僕たちに大学に、いや
国家権力に刃向かうだけの力は無かった…それが事実なんだ、ナオヤ君」
ナオヤ「…ふざけてやがる。地獄に落ちろ」
サヤ「…私たちを、どうするつもり?」
?「もちろんここで消えてもらう。悪く思うな」
ケセラ「…待って、どうか、ここは見逃してあげてください、お願いします」
?「やだねー。てか、無理」
パギー「お父さんの研究を好き勝手に…
絶対許さない、絶対許さないから!!」
?「うるさいな。じゃ、まずは一番近くの、ルーギーさんのお嬢さんからあの世に行ってもらうとしようか」
ケセラ「…
お嬢様、私は、あなたを護らないといけない」
ケセラさんは黒服の男の一人に強引に飛び掛っていった。
黒服の男が引き金を引くより早く、ケセラさんの蹴りが男の拳銃を弾き飛ばす。
どぉん!
それと同時に、轟音がした。
もう一人の男の放った弾を足に受け、ケセラさんはその場に倒れた。
パギー「ケセラ!」
パロール「…ちっ…」
パロールさんは何かを決心したかのように、もう一人の黒服に体当たりをくらわせた。
どごぉん!
が、もう一発の轟音とともに、二人は倒れこんでしまった。
パロール「…くは…っ」
サヤ「ああっ!」
男「…けっ、これぐらいで…
…
…!?」
ナオヤ「…」
男「ぐふああっ!」
最低が男の腕をねじるように締め上げる。
サヤ「…もしもし、ノルン?大スクープよ。キャットフードの大厄災の真相が分かったの。理学部の地下室を調べるように、って、言っておいて」
アヌビス「…殺った、のか?」
ナオヤ「…いいや。あとあと面倒だからな」
パギー「…ケセラ!!」
アヌビス「…大丈夫だ、まだ、生きてるよ。たぶん助かる」
ケセラ「…ナオヤ、さん…」
ナオヤ「何だ」
ケセラ「…ごめんなさい」
ナオヤ「…許しません」
ケセラ「…」
サヤ「…まあ、何はともあれ、一件落着だね」
ナオヤ「…まだ、終わってねえぞ」
サヤ「…え?」
ナオヤ「この忌まわしき物体を開発した人が、まだ残ってる」
パギー「…お、お父さん?」
ナオヤ「…そうだ。そして、悪いが、人質になってもらう」
パギー「…へ…
へ!?」
サヤ「さ、最低!?ちょっと落ち着いて!」
ナオヤ「…やだね。パギーには悪いけど、
逆らうと痛い目にあうぞ」
パギー「…そ、んな…」
パギー「け、ケセラを助けてあげて」
サヤ「…救急車、呼んどいたよ」
アヌビス「…仕方ねえ、外まで運んどくか」
サヤ「待ってよ、最低」
ナオヤ「何だよ」
サヤ「ルーギーさんのところに行って、どうするの?」
ナオヤ「いいだろが、別に」
サヤ「わたし心配なの!最低が何かとんでもないことやらかしちゃわないか…」
ナオヤ「…黙ってろ。いい加減にしないとお前でも本気で怒るぞ」
サヤ「…」
最低はもう、私には止められなかった。
パギー「…お父さんを、ゆるしてあげて」
ナオヤ「…は?」
パギー「…お父さん、いつも苦しんでるみたいだった。
今まで何に苦しんでたのか全く分からなかったけど、やっとわかった。
おとうさん…ずっと責任感じてきたの。
…だから…だから…ゆるしてあげて…」
涙声でパギーが訴えた。
ナオヤ「…許せるか」
が、無下に断られてしまう。
パギー「…」
パギーも、もう何も言えなかった。




