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世界で一番君が嫌い  作者: びゅー
2章 学問
60/116

2章-17 核心へ

パギー「…大学行くー」

ケセラ「お嬢様、でも皆さんは大学なんかに…」

サヤ「わたし行きたいでーす」

アヌビス「俺も行きたいよ」

ナオヤ「好きにしろ」

ケセラ「ほ、本当ですか!?」

ナオヤ「ええ。ここまでくりゃもう毒食わば皿までですよ」

パギー「…じゃあ理学部化学科にレッツゴー」


…どうして、その可能性に思い至らなかったのだろう。

…よくよく考えれば、怪しい所はいくらでもあった。

…この町の、大学。

…止めた、理由。

…思い当たらないほうが、どうかしていた。

…思い当たりたくなかった。


ナオヤ「…」

ケセラ「ど、どうされたんですかナオヤさん、いや、最低さん。ぽーっとしてますよ」

サヤ「…」

ナオヤ「…い、いや…」

サヤ「…最低…」

ナオヤ「…なんでもない」

サヤ「…で…でも…」

ナオヤ「なんでもない!」

サヤ「ご、ごめん」


アヌビス「…ど、どうしたんだ最低、一体。

いきなり顔が強ばってぽけーっとしていたじゃないか」

サヤ「…前に言ったでしょ?…最低のお母さんはキャットフードの大厄災で死んで、

残された父親と共に家族に引き取られた、って」

アヌビス「…それが、どうしたんだ?」

サヤ「…最低の…ナオヤのお父さんは、

…この大学の理学部化学科に通ってた研究員だったの」

アヌビス「…そ、それじゃあ…まさか」

サヤ「…キャットフードの大厄災…」

まさか、それと、

パギーの父親が、関わっていると?

そして…最低は…それを知ったとき、どうするだろうか?

サヤ{…考えすぎ、だよね}

そうであってほしい。

もう、わたしは心の中でそう願っていた。


理学部 化学科


今にも叫びだしそうだった。

父親。研究漬けだったけど、でも時々帰ってきては夜遅くまで遊んでくれた父親。

…。

思い出したくなかった。

…できれば、忘れていたかった。

…でも、

もう、こんな場所まで、来てしまった。


研究員「あ、ケセラさんではないですか!お久しぶりです」

ケセラ「パロールさん!こちらこそ久しぶりです」

パロール「そちらは、パギーちゃんですね!そして、そっちは…」

パロール?

…パロール?

…そうだ。

…この人と、俺は…

過去に、会ったことがある



それは僕がまだ物心つく前のことだった。

詳しいことはほとんど覚えていない。

ただ、父親と、その隣でパロールと言う人が

なにやら、言い争っていた。

…あの事件の、前日に。



…今の今まで、忘れていた。


パロール「…!!」

ナオヤ「…あんたは…」

パロール「…ナオヤ、まさか…ナオヤ君なのか…?」

ケセラ「知り合いなのですか!?」

パロール「…彼は…ローレンツ君の、ご子息だ」

ケセラ「!!」

ケセラさんが顔面を蒼白にした。

ケセラ「…まさか…この子が…?」

ナオヤ「あんたも…知ってるのか、親父のこと」

パギー「ケセラ、最低がどうしたの?」

ケセラ「さ、最低さん、

いや、ナオヤさんの、お父上は…」

ナオヤ「…俺の父親もここの研究員だった。…あの日、謎の大火災によって町が全焼するまではな」

パギー「…え」

ケセラ「…!!」

ナオヤ「…あんたら、あの火災の原因何か知ってるのか?

え?どうなんだ!?」

「そ、それは…」

ナオヤ「その反応を見た限りじゃ、知ってるんだろ?答えろ!」

もう、鎮めようとしても鎮まらなかった。

…理性的な判断ができなくなる。

…そう、分かってはいるのだけれど。

パロール「…」

ケセラ「……」

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