2章-05 お嬢様
ケセラ「じゃあね、マーク、ワニワニ」
二匹に別れを告げ、ケセラさんは再び歩き出した。
サヤ「…しかし、広いですね。こんなところをお一人で掃除なんて、大変でしょ?」
ケセラ「いいえ、全自動のうち特製お掃除ロボスーパールンバくんが全部やっちゃってくれるんです」
サヤ「へ」
ナオヤ「…そりゃまた、気楽なことで。…結構結構」
ケセラ「私の仕事は主に研究のお手伝いと、研究室のお掃除、それにお嬢様の面倒を見ることの3つです」
ナオヤ「…へんな家」
人間と動物と機械が共存する世界…
そんなもの、現実には存在しないのだと思っていたが…こんな森の奥に、そんな世界が存在した。
…改めて思う。
世界って、広いな。
アヌビス「…ってぐわあああああああーっ!!」
そんな風に納得し、現実を受け入れ始めていた俺たちの前にまたも想像をはるかに超える恐ろしい物が現れた!
歩く二本の棒!それにしがみついて遥かに高い所に女の子一人!
…違う、二本の棒はよく見れば竹馬だ。なーんだ、びっくりした。
ナオヤ「えええええええええええええ!?」
ケセラ「お嬢様!」
竹馬に乗っていた子はどうやら、ここのお嬢様のようだった。
…まあ、冷静に考えれば、ここにいる子供なんて、そのお嬢様以外に考えられないのだが、
なにしろ、あまりに強烈なインパクトを受け、それどころではなかったのだ。
アヌビス「な、何やってるのこの子!?」
サヤ「…」
二人とも、あいた口が塞がらないといった所だ。
ケセラ「お嬢様、竹馬はまたの機会にしてください!今はお客様が参られています!」
お嬢様「えー」
ケセラ「ほら、お降りください!」
そういうとケセラさんはいきなり助走をつけてその竹馬の子めがけて飛び掛っていった!
お嬢様「ぷー」
どうやらケセラさんは信じられない跳躍力をお持ちのようで
1メートルはゆうにくだらない竹馬の上にいる女の子めがけて体当たり!
そのまま女の子を抱えて見事に着地した。
お嬢様「…?」
女の子はそこでこちらの存在に気づいたようだ。
いきなり、ケセラさんの後ろに隠れて、こっちを伺っている。
服装は…いかにもお嬢様らしき、白い清潔な高級ドレス
…ではなく、ショーツにロングスカートという、おもいっきり私服だった。
…いきなり、ものすごく警戒されている。
警戒したいのは、こっちだよ。
女の子「…誰?」
ケセラ「お嬢様、心配する必要はありません、あの方々が今日のお客様方です」
サヤ「…」
アヌビス「…」
ナオヤ「…」
もう何を見ても驚かない。
…そう思ってたけど、無理です。
ケセラ「紹介が遅れました。こちらがお嬢様のパギーです」
パギー「…ナオヤ、アヌビス、サヤ?」
いきなり呼び捨てにされてしまった。
ケセラ「そう、今朝ノルンさんからお知らせがあったでしょ」
パギーと名乗る少女はケセラさんの話を聞かずに一気にこちらまで間合いを詰めてきた。
さっきまでのおびえっぷりが嘘のようだ。
…って、おいおい!
近い近い!
まるで、口付けでもするかのような距離まで隣接された。
パギー「…」
ナオヤ「…」
おいおい。
意味が分からない。
…と思ったら、どうやらこいつは俺を観察しているらしい。
…しかし、いや、その、ここまで接近されると、落ち着かない。
一通りパギーは俺の正面も後ろも観察し尽し、その後俺の横にいたサヤの観察、続いてアヌビスの観察に移った。
サヤ「…ちょ、ちょっと…?」
パギー「…喋った」
サヤ「そ、そりゃ喋るよっ!」
アヌビス「…な、なんだなんだ?」
パギー「…動く」
アヌビス「そりゃ動くわ!失礼な!」
アヌビス「こ、こら!くすぐったいわ!」
パギー「…あばれる」
ケセラ「こら、パギー、おやめ、お客様に失礼よ」
そう思うなら、もっと早くに止めさせろ。
パギー「…うーん…」
パギーは何やら考え出した。
そして突然、俺のほうを指差した。
パギー「…アヌビス」
ナオヤ「…へ?」
続いてサヤの方。
パギー「…ナオヤ」
サヤ「…え?」
最後、アヌビスの方。
パギー「…サヤ」
「…」
ナオヤ「…0点」
ケセラ「全員はずれです、お嬢様」
パギー「…がーん」




