2章-04 危険動物
家の中に入った。
…なんとも豪華な家だった。
床には絨毯、天井にはシャンデリラ。
おまけにきらきら光り輝く螺旋階段。
「ここで履物を脱いでくださいませ」
言われたとおり靴を脱いで、スリッパに履き替える。
「私はこの家の専属メイドのケセラと申します。以後お見知りおきを」
「ナオヤです。最低と呼んでください」
「あ、アヌビスと申します」
「サヤと申します。この家のお手伝いさんはケセラさんお一人ですか?」
ケセラ「はい。私以外にはこの家にはだんな様のルーギー様、奥様のラヴィーナ様、そしてお嬢様のパギー様と奥様方のペットのワニのワニワニちゃんとワニリシワちゃん、それにインコのコインちゃんとくまのマークと…」
アヌビス「え、え?」
ナオヤ「なんだそりゃ!?ここは動物園か!?」
サヤ「くまなんて飼ってるんですか!?」
ケセラ「はい。でも心配は要りません。お嬢様によくなついておりまして、とってもいい子なんですよ」
サヤ「ど、どこにクマなんて…」
アヌビス「ひえええええええ!?」
ケセラ「マーク、おとなしくしなさい。お客様ですよ」
放し飼いだった。
…しかも、家の中に。
ナオヤ「頭わるいんとちゃうか」
ケセラ「賢い子でね、ちゃんとトイレも決められた場所でするんですよ」
アヌビス「さ…さいですか…」
サヤ「…」(がくがくがくがく)
サヤは既に声も出ない様子だった。
ナオヤ「…ってことはよ、おい…」
心配している暇もなかった。
ケセラ「あ、ワニワニ。よしよし、いい子いい子」
今度はワニが廊下の曲がり角から現れた。
アヌビス「ぎゃぁぁぁぁぁ」
サヤ「…」
ナオヤ「…あ、失神してる」
ケセラ「…はじめはインパクトが強いかもしれませんね…でもすぐ慣れますよ。みんな人懐っこい子なんです」
ナオヤ「…へー…」
やばい。あまりにもやばい。
下手に一人で出歩こうものなら、食われても文句は言えないだろう。
末恐ろしかった。
…が、衝撃はまだまだこんなものでは終わらなかったのだ。
ケセラ「…大丈夫ですかー」
サヤ「…うーん」
ナオヤ「ようやく、気づいたか」
マーク「…」
サヤ「げ、きゃぁぁぁぁぁぁーっ!!」
ナオヤ「落ち着け、とって喰われるわけじゃない」
サヤ「…へ?」
ケセラ「マークはおとなしいクマでね、めったに人を襲ったりしないんですよ」
ナオヤ「…めったに、ってどういうことじゃ」
ケセラ「はい、可能性が0とは言い切れないですので」
めったに。
すごく気になる表現だった。




