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世界で一番君が嫌い  作者: びゅー
1章 法律
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1章-25 裁判⑤- 終結

タツは拳を握り締めた…が、どこにも振り下ろせなかった。

タツ「殺せないなら、殺せないなら…

ぼくは、この怒りを、どこにぶつけたらいいんだよ!!」

あまりに痛々しい叫びだった。

ナオヤ「落ち着こう」

タツ「……」

ナオヤ「殺したって、満足できなかったんだろ?

だったら、悲しいけど、おまえの心を満たせるのは復讐じゃないってことだよ」

タツ「最低…おまえに何が分かる」

ナオヤ「おれな、

あるいは復讐しておまえが喜ぶのなら、

それでいいやって思ってたんだ」

タツ「…」

ナオヤ「その場合、実際は死んでないことはおまえには黙っておくつもりだった」

タツ「…なぜ、殺させなかった」

ナオヤ「そりゃあきみを犯罪者にしたくないからだよ」

タツ「……」     ・・・

ナオヤ「でも、おまえはこんな復讐じゃ満足できなかった。

なら、もう、おれにはこうするほかない」

青龍の妻と、子どもが出てきた。

青龍「おい!

どういうことだ!話が違うぞ!!」

ナオヤ「考えてみればおかしいよな。   ・・・・・・・

愛する家族を殺されたのなら、愛する家族を殺し返さないといけないよな」

タツ「…最低、もういいんだ!」

ナオヤ「それが真の意味での復讐だと思う。

そして、その復讐の肩代わりは、おれがしてやる」

サヤ「最低!?何を言ってるのさ!!」

妻「…」

子供「…」

二人とも、覚悟はしているようだった。

ナオヤ「じゃあ、死んでもらうぜ…」

最低は青龍に向かって言った。

ナオヤ「『生物の本能ってのは本来邪悪な物』だったよな。

『他を殺してでも生き残るのがこの自然の摂理』だったよな」

青龍は答えない。

ナオヤ「すべて他者を倒して生き残る生存競争なんだよな。

だから、おれの死刑もそれの延長線にすぎないんだよ」

青龍「やめてくれ!」

初めて、この男の本音が出たような気がした。

青龍「家族は関係ない!殺すなら俺だけにしてくれ、たのむ!」

ナオヤ「だれにも被害を追わせられない生物など存在しない。

まぁ、そういうことで、残念だけどここで死んでもらうよ」

が、最低と妻子の前に、

二人の少年少女が、立ちはだかった。


ナオヤ「じゃまだよ、タツくん。アカネちゃん」

タツ「もうやめてくれ、最低」

ナオヤ「おれは何もおまえのためだけに復讐してるんじゃない。

こいつらに家族を奪われたほかのたくさんの人のために復讐をしているんだ」

アカネ「もういい、もういいよ、

この人たちは、関係ないよ!」

ナオヤ「おまえらに止めるだけの理由があるのか?」

タツ「……」

アカネ「それは……

わたしもうこれ以上誰かが悲しむのを見たくないの!」

青龍「……」

ノルン「まったくもう、情けないわね。

人殺しを止めるのに理由なんかいらないの!」

ノルンが最低にスタンガンをぶちかます。

ナオヤ「…ぐ…」

最低はそのままノルンに担ぎ出される。

妻「……タツさん、アカネさん、

申し訳ありませんでした」

青龍「…………

……

……」

妻「あなたも謝りなさい!彼らは私たちを助けようとてしくれたのよ!

自分の親の仇の家族を…あなたは、何なの!?自分のことばかり…」

青龍「……私なんかが謝って、許されることではあるまい。

私のような醜く愚かな人間が、何を言ったところで…」

少年少女は、青龍と手をつないだ。

青龍「…」

タツ・アカネ「……かっとなってしまって、ごめんなさい」

青龍「私は、私はどこまで愚かなのだろう…」

青龍は、膝からその場に崩れ落ちかけ、それをタツが支えた。

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