1章-12 不穏な村
ノルン「…で」
サヤ「ここが…ロールスロイス?」
たどり着いたその村の第一印象というと、
…それはもう不気味な村だった。
家が数件、ぽつんぽつんと離れて見えるが人っ子一人いない。
いや、犬猫、虫けら一匹すらいやしないのだ。
耳を澄ませてみても、何一つ聞こえない。
…生活のにおいという物が、この村には皆無だった。
アヌビス「…誰もいないのか?」
ナオヤ「んなわけねえだろ」
サヤ「そんなわけないよ」
アヌビス「何も二人で口そろえて言わなくてもいいじゃねえかよ!」
サヤ「そ、そんな、合わせるつもりなんてなかったよ」
ナオヤ「悲しいことにおれとこいつは似たもの同士だからあ」
サヤ「わたし最低ほど性根腐ってないもん!」
ナオヤ「はいはい」
ノルン「おーい。行くよ?」
サヤ「どうするの?」
ノルン「人がどこかにいないか探してみましょ」
アヌビス「…ほんと、悪い予感がするぜ」
家はさほど豪華な物ではない。
…いや、カニクリームよりもっと弱弱しい。小さい。
貧しさを建物を見ただけで感じ取ることができるぐらい、この村の家はボロボロだった。
あちこちに田がある。しかもとても広い。
…どう考えても、田畑の数に家の数が追いつかない。
…しかも。
ナオヤ「ほんとに人一人いねえな。どうなってるんだろ」
サヤ「不気味だよ…」
ナオヤ「叫んでみるか?誰かいませんかー!って」
サヤ「…や、やめといた方がいい気がする」
ナオヤ「でもそれが一番手っ取り早いと思うんだがなー」
サヤ「で、でも…不気味だよ」
ノルン「…こうなりゃ仕方ないわね。ちょっと一つの家にでも押しかけるとしましょ」
そんなわけで、一番近い家に入って、状況を尋ねることにした。
ノルン「失礼しまーす」
ナオヤ「うわ、ボロっちい…」
サヤ「…最低、失礼だよ」
ノルン「誰かいませんかー?」
…。
しーん。
サヤ「留守かなあ…」
アヌビス「…これ見ろよ、靴があるぜ。それにあっちには洗濯物も干してあるし、やっぱりここには人が住んでる」
ノルン「すいませーん!」
…。
やはり、何も聞こえてこない。
ナオヤ「…さて、誰もいないようなのでとりあえずこの家に火をつけるとしますか!!」
声「ひえええええええ!お許しください!」
ナオヤ{ちょっと脅してみたら案の定出てきたじゃないか。さて、話を聞かせてもらおうぜ}
サヤ{あんたって人は…}
声「どうかお許しください!命だけは、命だけは!」
ナオヤ「いや、さっきのは冗談です。
で、教えてください。この村はなんでこんなに静かなんですか?他の人はどこにいます?」
声「…私には話す権利がありません。
村長をたずねて下さい。村長の家はこの道をまっすぐ行った先にあります」
ナオヤ「教えてください。お願いします。頼みます。
村長の家までわざわざ出向くなんて、めんどくさくて仕方がありません」
声「すいません、どうか…どうか…」
ナオヤ「…」
ノルン「…」
サヤ「…どうする?」
ナオヤ「…仕方ない、ここにいても無理みたいだし、村長さんのお宅へ伺うとしますか」




