1章-04 旅道中①
急ぎながらも、勇者に連絡を入れる。
ロバート「青龍?
ああ、あいつは、キャットフードの王に取り入って、
ロールスロイスの発展を試みようとしている、
正直厄介な男だ。
なに、脅迫罪に、窃盗罪?
うーん、相手が一国の主だけに、少々のことで勇者が手を出せば
それで戦争になる可能性が否定できない。
それだけに、私としても、うかつには動けん」
ナオヤ「ずいぶん情けないね」
サヤ「最低」
サヤが横やりを入れるが、事実なので無視。
ロバート「すまない」
ナオヤ「ところで」
サヤ「なに?」
ナオヤ「ロールスロイス村ってどんなところなんだ?」
サヤ「さあ?私は知らない」
アヌビス「俺も知らない」
ナオヤ「怪盗の癖に?」
アヌビス「しらねえもんはしらねえんだよ!」
ナオヤ「教会のときからずっと思ってたんだが、
おまえって言葉のボキャブラリーに乏しいよな」
アヌビス「うっせえ!」
ナオヤ「そもそも泥棒ってのは誰にも気づかれずに侵入するのが基本だろ?
それをあんな目立つところから、しかもわざわざ「怪盗アヌビス参上」。
捕まえてくださいって言ってるようなもんだぞ?
怪盗の考えることはわからない」
アヌビス「うるせえっつってんだろうが!!」
ナオヤ「はあ…どうせ俺たちを手伝うと見せかけて途中で逃げ出すと言う腹だろ」
アヌビス「…え?」
ナオヤ「違うのか?」
アヌビス{…あーなるほど、そういう手もあるな}
ナオヤ「見逃してやるから、とっとと消えな」
アヌビス「まあそういうな。逃げるのはいつでもできる。だからもうちょっとお前についてかしてもらうよ」
ナオヤ「…こちらの意図は通じなかったみたいだなあ。
じゃあ今度ははっきり言う。泥棒と一緒に歩くのは迷惑だ。帰れ」
アヌビス「ふん、勝手についてかせてもらう」
ナオヤ「つ い て く る な」
サヤ「もー、二人とも、喧嘩してる場合じゃないでしょ。
ついてくるってんならそれでもいいじゃない、ね、最低」
ナオヤ「…足手まといになりそうなんだよ、正直…」
アヌビス「ならねえって言ってるだろ!信じろよ」
アヌビス{あいにくこっちの狙いは横取りだからな。ここで帰るわけにも行かない}
ナオヤ「はあ」




