1章-02「肩書」
サヤ「…ねえ、あれって…」
ロバート「…ん?」
エンジェラ「どうしたの、お嬢ちゃん?」
サヤ「あっ、その、あなた方、もしかして…」
ロバート「ん?どうしたおちびちゃん達?
…ああ、そうだよ。僕はここの国王から勇者の称号を授かったロバートさ。
こっちが仲間の魔法使いのエンジェラ、こっちが戦士のヨハネ、そして癒しの術使いのクローネだ」
クローネ「よろしくお願いします」
ヨハネ「よろしくな!」
エンジェラ「よかったら、あなた達の名前も聞かせてくれない?」
サヤ「あ!あの、わたしサヤっていいます、で、こっちが…」
ナオヤ「最低です。よろしく」
ロバート「最低?」
ナオヤ「あだ名です。
でもめんどくさいのでそれでいいってことにしてます。
覚えやすいでしょ?」
サヤ「こら、ナオヤ」
ナオヤ「あんまりそっちの名前で呼ぶなって。
とにかく、おれのことは最低でおねがいします」
エンジェラ「へんな子…」
ロバート「ははは!面白い子だね」
アヌビス「…アヌビスです」
ロバート「君たちはどこから来たんだい?」
サヤ「カニクリーム村です」
ヨハネ「なんでまた?」
かくかくじかじか
ロバート「なるほど…八音の旋律ね…
こんな子供に…神だとしてもひどい神だ」
ナオヤ「全くですよ。さすが勇者だけあって、話が分かりますね」
ロバート「分かった、もし僕らもその名を聞く機会があれば探しておくよ」
ナオヤ「別にそんなことしなくてもいいですよ」
ロバート「まあそう言うな。これでも勇者なんだから、それぐらいやらせてくれ」
ナオヤ「そうですか、それならありがたく。
お願いします。がんばってください」
連絡先を交換した。
クローネ「…あの…そろそろ時間が…」
ロバート「あそうだ!ちょっとこれから用事入ってるんだ!悪いが失礼する、それじゃね!」
エンジェラ「ばいばーい」
ヨハネ「またなー」
サヤ「さようなら!この日のこと一生忘れないです!」
ナオヤ「それでは」
サヤ「…」
ナオヤ「やれやれ。まさかこんな簡単に出会うとはな。
まあ誠実そうな人じゃないか」
サヤ「感動…」
ナオヤ「?どうした?」
サヤ「勇者さんと話ができただけじゃなくて、
名前まで覚えてもらうなんてサイコー!!
最低は…そう思わないか、最低だもんね」
ナオヤ「まぁ、ああいう人と会えたら、悪い気分ではないな」
サヤ「…どーしてそーさめてるかなあ」
ナオヤ「勇者さんだろうとおまえだろうと、こいつだろうと
一人の人間だ。
俺の中ではそう大して変わらんよ」
アヌビス「!?」
なんかこいつ、今いいこと言わなかったか?
ナオヤ「人と話をして名前を交換する。
たかがそれだけのことだ」
サヤ「もう…勇者と話ができるなんて一生に一度あるかないかなのよ?そんな偶然にめぐり合えるなんて素敵だと思わない?」
ナオヤ「人と人との出会いなんて全部偶然で一生に一度あるかないかだよ」
サヤ「そうじゃないって!『勇者』よ、勇者!
国のヒーローよ!超有名人なのよ!」
サヤの目が輝いている。
アヌビス「サヤちゃんって、勇者好きなの?
勇者になりたかったとか?」
サヤ「ううん、金のにおいがするから」
がくっ!
ナオヤ「な!
分かった!?分かった、こいつ」
アヌビス「……わかった」
サヤ「なによ、二人して。失礼な」
ナオヤ「わからない」
サヤ「…最低になんか分かってもらわなくたっていいもん」




