5章-20 いいわけ
数時間揺られて、地上に戻った。
その間、いろんなことを考えていた。
一人で。…のつもりだったが、変なやつが割り込んできた。
パギー「ナオヤ、やっぱりサヤのこと、好き」
ナオヤ「ちがうっつってんだろ」
パギー「だって、サヤのこと、必死で助けた。
ありえないぐらい必死だった。
あんなの好き以外の何物でもない」
ナオヤ「それは単なる恩返しだ」
パギー「うそだ!」
ナオヤ「…。
あー、ちょっとマジになるな。
あのな、俺はな、女と付き合うのなんかイヤなんだよ。おけ?」
パギー「えー」
ナオヤ「だから今でも童貞だしこれからもきっとそうだ。
そういうやつなんだよ」
パギー「独身貴族?」
まだ独身と呼ばれる年でもないし、貴族でもない。
ナオヤ「確かにサヤとは縁もあるしよくしゃべる。でもそれだけだ。
好きだなんて感情は一切、ない」
パギー「どうしてそんなこと言うのさ」
ナオヤ「好きになんてなれねえんだよ」
パギー「どうして?」
ナオヤ「どうしてもなにも…
おれが最低だから、じゃダメか?」
パギー「答えになってない」
ナオヤ「おれに好かれても困るだろ、だいいち」
パギー「人に好きになられて困るも困らないもないよ」
ナオヤ「おまえって変な所で意地っ張りなのな…」
ナオヤ「あのな、好きになるってのはな、大変なことなんだぞ?
他のものを相対的に切り捨てないといけないんだぞ?
それでもってさらに相手を幸せにしてやらないといけないんだぞ?
…そんな大層な事俺にできる自信もないし、する言われもない」
パギー「…」
ナオヤ「まあ、あとは…そこまで本気じゃないんだ。
たまにはちょっと心に焼きついたりすることはあるよ、確かに。
それは認めるけど、すぐに冷めていく。
俺は、そんなもんなんだ。分かってるから、下手に付き合いたくない」
パギー「……」
ナオヤ「なんか、見えちまう気がするんだよ。
付き合ったって、数ヶ月で飽きて、結局やり捨てちまうおれの姿がさ。
情けねえけど」
パギー「そうかなぁ…」
ナオヤ「だから、付き合えねえ。
それで、かえってあいつを傷つけることになるような気がするから。
はあ、ヘタレだよなあ」
パギー「ごめんね、わたし…ナオヤの気持ち知らずに…」
ナオヤ「別にいいよ。おれはそんなことで傷つくようなやつじゃない。
…それに、完全に悪いのはおれだぜ」
パギー「そんなこと…」
ナオヤは、それだけ言って、その場を後にした。
サヤ「はぁ、みんなほんとごめんね」
アヌビス「まあ、お前が謝ることじゃねえって」
サヤ「でも、私のせいでもあるわけだし…」
ナオヤ「じゃあ、晩飯おごってくれ」
サヤ「へ…」
ナオヤ「安心しろ、飲みはしないから」
サヤ「………うー…
わたしのお金…」
ナオヤ「反省の色が見えないな」
サヤ「もう…払うよ!払えばいいんでしょ!」
ナオヤ「そうだ、払えば何も言うことはない」
サヤ「ううー…」
ナオヤ「割と本気で嫌そうだな」
サヤ「本気で嫌なんだけど」
アヌビス「ぷっ」
レック「ははははは」
パギー「おっかしー」
サヤ「もう!みんなまで…」




