5章-17 偽善ごっこ
気づいたときには、もう遅かった。
一日と経たないのに。
宮殿が。ベッドが、お金が。
そして、わたしの部屋が、完膚なきまでに燃えようとしていた。
なんで、いつからこうなったんだろ?
罰が当たったのかな。
逃げようにも、足がすくんで、動くことすら出来なかった。
…このまま、死ぬのかな。
「はははは…ははははははっ…」
そう思うと、あまりにもみっともなくて、笑いがこみ上げてきた。
そして、目からは、涙が流れてきた。
「何、やってたんだろ、わたし」
「結局自分から、友達も何もかも捨てちゃって…」
「手に入れたものも、一瞬で燃えちゃって…」
「結局残った物なんて、何一つなかった」
「ばっか、みたい…」
もう、涙が止まらなくて。
ただ、ただ泣くことしか出来なくて。
「あたしの…あたしの…バカぁ…」
「ぐすっ…ぐすん…げほっ、げほん」
息苦しくなってきた。
泣いたことで煙を吸い込んでしまったのかもしれない。
あたまがいたい。もう…だめだ…。
その時だった。
恐ろしい音がした。
と同時に、空から恐ろしい量の水が降ってきた。
ドアが、音を立てて開いた。
幻か、それとも地獄からの使者か、そう思った。
「ほんとバカだよ、おまえ」
「…」
「何も残ってないなんて、そんな簡単に言うな」
「どうして…?」
「早く、出るぞ」
「どうして…来てくれたの」
「…」
ナオヤは、一瞬返答に詰まった。
「偽善ごっこだよ」
「…」
「さ、行くぞ」
「うん」




