5章-12 婚約者
サヤの部屋
サヤ「…」
ナオヤ達が、ドアを開けて中に入ってきた。
ナオヤ「ほう、立派な部屋じゃないか」
サヤ「へへーん。立派でしょ。
しかも、このお金!好きに使っていいのよ。
ついに、私念願の大金持ちになったのよ。えっへん」
ナオヤ「努力も何もなしにな。運のいい奴だ。けっ、くそったれが」
サヤ「私もこの町の人と同じ海底人っていうのにはちょっと寒気がするけど、
まあ…しょうがないわよね。血筋なんだし」
パギー「サヤ…ここに、残るの?」
サヤ「………。
…。
まあ、そうかな」
パギー「そんな…寂しくなるよ…」
サヤ「…。
ごめん」
アヌビス「それで、いいのか?」
サヤ「…。
…」
ナオヤ「おいおい、無理に引きとめるな」
パギー「だけど!」
ナオヤ「夢叶ってよかったな」
ナオヤは皮肉っぽくそういってのけた。
サヤ「…」
ナオヤ「お金なんて、いくらでも使えるようになったじゃないか」
サヤ「わたしは…。
わたしは…」
ナオヤ「じゃあな」
ナオヤが外に出ようとした。
サヤ「待って!」
ナオヤ「なんだよ」
サヤ「お願い、一つ、していいんだよね」
ナオヤ「?ああ、そういえば、な。忘れかけてたぜ」
サヤ「だったら…ナオヤも、ここに残って」
ナオヤ「…」
パギー「サヤ!いい加減にしないと怒るよ!」
サヤ「わがままなのはわかってる…でも…でも…わたしは、どうしたらいいか…わからなくて…それで…」
ナオヤ「いやだ」
サヤ「え」
ナオヤ「俺はこんなところは嫌いだ。大嫌いだ。
それに、俺がこんな所にいても、害になるだけだ」
サヤ「だって、なんでもお願い一つ聞いてくれるって…約束したじゃない!!」
ナオヤ「…。
はっ。
あんなのまともに信じてたの、お前?バカじゃねえ?」
サヤ「ど、どういうこと…?」
ナオヤ「ばーか、あんなの、 う そ だよ!
他の奴のは聞いてもな、お前の願いなんか、俺が聞くわけないだろ、ばーか!!」
サヤ「……!?
バカ!何よそれ!信じてたのに…!!」
ナオヤ「だーまされた、騙されたー!!ひゃーっひゃっひゃっひゃっひゃ!あーおかしい!」
サヤ「出てって!!嫌い!!」
ナオヤ「言われなくても出てってやるよ!!ばいばーい」
サヤ「ナオヤ!」
ナオヤは、ドアを開けて部屋から出て行った。
勢いよく飛び出したので、部屋の外に立っていた男と正面衝突しそうになってしまった。
男「おっとっと…」
ナオヤ「すんません。
あなたは?」
男「おお、君がナオヤ君か。私はサヤちゃんの婚約者としてセイント女王から任命されたパディールという者だ。よろしく」
ナオヤ「婚約者?
婚約者ぁ!?」
男「この国では女王は子供のころから結婚するというしきたりなのだよ」
ナオヤ「へ、へー、そ、それはどうも、おめでとうございます」
そう言うとその男はナオヤのことは放っておいてサヤの部屋へと堂々と入って行った。




