5章-07 主観
裁判長「裁判を始めます。原告、どうぞ」
原告「私は、夜中に町を歩いていた所、いきなりそこの男にいちゃもんをつけられ、殴られました」
裁判長「被告人レックは、善良な一市民に殴る蹴るの暴行を加えたことを認めますか?」
レック「ちょっと待ってくれよ!それはそいつが棒持ってこちらに襲い掛かってきたから…」
原告「嘘をでっち上げるな!」
レック「なにぃ!?」
裁判長「しかし、原告にもひどい怪我が見られますよ?」
レック「んなこといったって、俺が手を出したのは一人だけだ!しかも正当防衛だ!」
観衆「嘘をつけ!」
観衆「悪魔の地上人どもめ!この期に及んで言い逃れをするつもりか!?
素直に自分達の暴行を恥じろ!」
裁判長「静粛に!
誰か、証人は?」
レック「おまえら、見てたよな?」
裁判長「残念ながら親しい者の発言は証拠にはならない。
かばっているという可能性も考えられるからな」
レック「おい!なんだよそれ!」
裁判長「続いてナオヤ被告、アヌビス被告。君らも同罪か?」
アヌビス「同罪!?ふざけんな、こっちが一方的にやられただけだろうが!!」
ナオヤ「落ち着け、怒ったら負けだぞ」
裁判長「その証拠は?」
アヌビス「んなもん、あるわけないだろうが」
サヤ「私が証言します!昨晩私たちの部屋に石や卵やらが投げ込まれるという事件があったんです!それでナオヤたちは犯人を捕まえるために外へ出たんです!」
ナオヤ「そうだよ。それで殴られたんだ」
サヤ「きっとこの人たちが私たちに石や卵ぶつけた人たちです!そして集団でナオヤに暴行を…」
裁判長「それは君の主観にすぎない」
観衆「そうだそうだ!被害者に鞭打つ悪魔め!」
観衆「死刑にしてしまえ!」
ナオヤ「……」
裁判長「では、いよいよ判決をします。
…被告を、有罪だと思う者は赤旗を、無罪だと思う者は白旗をあげてください」
赤18票、白2票。
裁判長「よって圧倒的多数により被告は有罪とします」
サヤ「…そ、そんな…」
パギー「こ、こんなの…うそだ…」
アヌビス「ふざけんな…!!」
観衆「未だに反論をしつこく繰り返す基地外地上人に死刑を宣告しろ!!」
観衆「お前らほんとに人の血の通った人間か!?」
ナオヤ「ちょっと、最後に一言いいか?」
裁判長「許可しよう」
観客「なんだあ?まだしつこく物言いか?」
観客「言い訳なんかもう聞きたくねえぞ!!とっとと死刑になってしまえ!」
ナオヤ「地上人は海底人に物申したら逮捕されるってことだな。
初めて知った。ありがとな」
ナオヤは憎しみを込めてそう言った。
ナオヤ「…ああ、今の皮肉も犯罪だよな。刑に追加しといてくれ」
観客「はあ?何言ってるんだこの基地外!?」
こうして、無茶苦茶な裁判が終わった。




